ロボットはもはやSF世界だけのものではありません。
家の床を掃除してくれたり、レストランで給仕したり、工場で組み立てを行ったりと、すでに日常生活の一部となっています。
近い将来には、より私たちの見た目に近いヒューマノイド型のロボが普通に同僚として出勤するようになるかもしれません。
そうなったときに気になるのが「ロボットの嘘」です。
嘘は人間社会における大切なコミュニケーションツールであり、決して悪いものばかりではありません。
例えば、本当は体調悪いのに相手に心配かけまいと「ぜんぜん平気」と偽る優しい嘘もあります。
ただ米ジョージ・メイソン大学(GMU)の研究者らが問題にしたのは「ロボットが嘘をついたときに人はどう感じるのか?」を知ることでした。
もっと踏み込んで言うなら、ロボットにつかれて嫌な嘘、あるいは許せる嘘とはどのようなタイプのものなのでしょうか?
今回の研究チームはそれを調べてみたのです。
研究の詳細は2024年9月5日付で学術誌『Frontiers in Robotics and AI』に掲載されています。
目次
- 人は「ロボットの嘘」にどう反応するのか?
- ロボットにつかれると嫌な嘘とは?
人は「ロボットの嘘」にどう反応するのか?
研究チームは今回、ロボットが嘘をつくことに人々がどう反応するのかを調べるため、498名の一般参加者を募りました。
参加者の年齢は18歳から84歳(平均37.2歳)と幅広いです。
ここではロボットが人につく可能性のある嘘として3つのタイプを検討しました。
嘘をつくシチュエーションとしては、ロボットがすでに働いている現場(医療・清掃・小売業)が選ばれています。
タイプ1:ロボットが自分以外の何かについてつく嘘
1つ目はロボットが自分とは直接関係しない外部の出来事についてつく嘘です。
具体的なシナリオとしては、アルツハイマー病を患う女性の世話係として働くロボットが「あなたの旦那さん(実はすでに亡くなっている)がもうすぐ帰宅しますよ」と嘘をつきます。