天火(てんか)は、怪火の一種として日本各地に伝わる妖怪・怪異であり、「てんび」「てんぴ」と呼ぶ地域もある。いくつもの民間伝承で伝わっており、江戸時代の古典などにも多数記述がなされている。
例えば、『絵本百物語』にある説話によると、あるところに非情で皆から嫌われていた代官がいたが、その代官が引退した翌月のこと、火の気のないところからいきなり火が出て代官の家が全焼し彼も焼死してしまった。彼の蓄えてきた金銀・衣類といった財産財宝はすべて焼けて消えてしまったが、この火災の際に天から火の玉が降って来たのを目撃した人々がいたのだという。
また、『甲子夜話』によると、肥前(現在の佐賀県)に時として天空から火の玉が落ち、これが落ちてくると転々としてどこに止まるかわからず、人家に転げ入って火事を起こしてしまう事例もあったことから、人々は念仏を唱えながら郊外に追い出していったのだという。
さらに、『筆のすさび』によれば、同じく肥前に火事で家を失った者がいたのだが、のちの代官の元に新築の費用を渡しに支払わせて欲しいという請願書が届けられたのだという。その内容には、送り主が自身の家の屋根に天火が降りかかろうとしていたところを雪駄で追い払った結果、その先で火事を起こし焼けてしまったのが今回被害に遭った家だったのだという。
この他、熊本に伝わるという話に次のようなものがある。代々火消の家に生まれた三五郎は高所恐怖症であったために親方からクビを宣告されてしまった。それから毎晩神社に通い「一人前の火消しにして下さい」と願い続けたところ、百日目の夜に白い着物の老人が突然現れ、「天火が飛んで来たらこの袋を開け」と三五郎に袋を渡し消えてしまった。
ある夜、天火が空から降って来たところへ三五郎は老人に言われた通り袋を広げると、天火は袋に入り泡となって消えてしまった。以来、天火が降るたびに三五郎が呼ばれるほどに頼りになる人物として称えられたが、これに嫉妬した何者かが彼の袋を奪い取ってしまい、以来その袋は行方不明になってしまったのだという。
天火の特徴としては、特定の場所に現れ彷徨うといった多くの怪火とは違い、その名の通り天から降ってくる火の玉という点にあるだろう。奈良県に伝わるジャンジャンと音を立てて飛ぶ二つの怪火「じゃんじゃん火」と同様のものを九州にて「天火」(てんぴ)と呼び、また岐阜県にて夏の夕暮れを大きな音を立てながら飛ぶ怪火のことを天火と呼ぶことがあるという。
これを見ると、天火は隕石のたぐいであるとも考えられるが、現代で言うところのUFO(UAP)に近い存在が天火と呼ばれていた事例もあったのではないかと考えられる。なんと、群馬県には「天火人」(てんかじん)と呼ばれる、どこからともなく現れる提灯のような丸い火の玉が、背後から降りかかって人を昏倒させたり、時には生き血を吸ったりするとして恐れられたという。
この話は、鉄道雑誌『旅の伝説』にて掲載された高井義信という人物の寄稿に基づいており、その正体はかつて地元の領主であった邦波又太郎の亡魂、あるいは馬ほどあるムジナな化けて出たもの、との説があるのだという。この寄稿者の村に伝わる怪火の伝承ということであり、「天火人」というのは彼の当て字であるとのことだ。
怪火の一種あるいは派生として語られたものであるとも考えられているが、人の生き血を吸うという点からはUMA「チュパカブラ」をイメージせずにはいられない。エイリアンが地球に送り込んだ異惑星の生物という説もあるUMAであることからも、天火は現代的に言うところのUFO・エイリアン絡みの遭遇・目撃事象に非常に近い存在であったのかもしれない。
提供元・TOCANA
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