メガロドンは、約2300万年前から360万年前にかけて棲息していたとされている古代のサメである。史上最大の古代ザメと呼ばれており、現在のホホジロザメとは近種であるという。断片的な化石でしか確認されていないため大きさについては不明であるが、推定で10~15メートル、もしくはそれ以上という見解がなされている。いずれにせよ、ホホジロザメよりも巨大であったことは確かであり、ウバザメやジンベイザメに近いサイズであったと考えられている。
すでに絶滅した生物と言われているが、実は現在でも深海に生存しているのではないかとも考えられている。現に、メガロドンと思しき生物が目撃あるいは写真や映像で撮影されたといったような事例が、これまでにいくつも報告されている。映像に限定すると以下のような例がある。
2016年、世界で最も深いと言われるマリアナ海溝にて、海洋生物学者のコリン・ドレイク率いる研究チームが深海に沈めたロボットを操作している様子を映像におさめていた際、巨大なサメのヒレと思しき影をとらえた。その存在は一瞬で通り過ぎてしまったものの、ヒレの大きさから推定すると18メートルにも及ぶ巨大さであったことから、メガロドンを捉えたのではないかと話題となった。
映像におさめられたメガロドンとされるものは他にもあり、2012年にはブラジルにて沿岸警備隊がヘリコプターから撮影していた映像に偶然にも映り込んでいたというものだ。尾びれを上下に振って前進するクジラと違い尾びれを左右に振って泳いでいることから、クジラではなくサメではないかと推測されメガロドンを捉えた映像ではないかと言われたのだ。
ただ、これらの映像については反論もなされている。マリアナ海溝のものについては最大7メートルを超えると言われる深海ザメ「オンデンザメ」(スリーパーシャーク)ではないかとの意見もある。さらに、ブラジルで撮影された映像については、ディスカバリーチャンネル「Megalodon: The Monster Shark Lives」のワンシーンで使われたものであり合成映像であることがわかっている。そもそも、ブラジルには沿岸警備隊というものは存在していないため、明らかなフェイクであったと断言できるのだ。
メガロドンと捉えたとされる動画の多くは、フェイクとして作成されたものや、メガロドンに比べ小さすぎるため他のサメの誤認にすぎないと考えられるものが多い。元々、欧米などではB級ホラー映画としてサメ映画という独自のジャンルが確立されるほどに認知されていることから、そのようなノリで創られたものも多いであろうことは想像に難くない。
また、根本的なことになるが、メガロドンが生き残っていたとしても深海で棲息しているというのがおかしいという意見もある。メガロドンのサイズからも考えると、深海の生物だけではメガロドンを支えることは不可能ではないかとも言われており、エサとなり得る大型鯨類がたびたび姿を現す表層にメガロドン自身が姿をほぼ現さないのは不自然ではないかというのだ。
さらに、幼魚時代を浅瀬やマングローブで過ごすというサメ類が現生でも多く見られることから、メガロドンの幼魚も浅瀬で過ごしていたのではないかとも考えられており、そうであれば幼魚および産むために訪れるはずの母メガロドンを沿岸で目撃あるいは捕獲された情報が皆無なのも疑問である。
残念ながら、メガロドンが生き残っているという証拠は、現時点においては存在しないという他ない。だが、仮に生き残っていたとするならば、それは深海での進化を経た末にイメージとは異なるフォームをしている可能性も充分にあり得ることだろう。
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文=ZENMAI(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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