指比(しひ、ゆびひ)という言葉、聞いたことがありますか?

指比とは、手の各指の長さの比率のことです。

指比の中でも代表的な指標が人差し指(2nd digit:第2指)と薬指(4th digit:第4指)の長さの比率を示す2D:4D比です。

2D:4D比は、人差し指の方が長いと1.0を超えるのに対し、薬指の方が長い場合には1.0を下回ります

100人以上のプロサッカー選手を対象として、2D:4D比と持久力との関係を調べた研究があります。

その研究結果を見ると、2D:4D比が小さい、つまり人差し指に比べて薬指が長いプロサッカー選手ほど持久力が高いという関係が示されています。

一見すると怪しい結果にも感じますが、2D:4D比とスポーツパフォーマンスとの関係に注目した研究は他にも存在し、意外と侮れない指標なようです。

プロサッカー選手の持久力は指比で3分の1以上が説明できる

セントラル・ランカシャー大学(キプロスキャンパス)に所属する研究グループらは、地中海東部に位置するキプロスでプレーするコーカソイド(欧米人)のプロサッカー選手(1部・2部リーグ所属)133名を分析対象者として、指比と持久力との関係を調べました

この研究では、選手の手のひらを下に向けて、指をできるだけ真っ直ぐにした状態でコピー機によってスキャンされた画像をもとに、人差し指(2D)と薬指(4D)の長さが計測されました。

人差し指に比べて薬指が長い場合、2D:4D比は1.0を下回る
人差し指に比べて薬指が長い場合、2D:4D比は1.0を下回る / Credit: commons.wikimedia

そして、ガスマスクを装着した上で、ランニングテストを行うことで、最大酸素摂取量といった持久力に関する指標を測定しています。

最大酸素摂取量とは体内に取り込める酸素の単位時間当たりの最大値で、サッカー選手の競技力と深く関わる指標です。

得られた結果を見ると、右手の2D:4D比と最大酸素摂取量との間には強い相関関係がありました。

より具体的には、この指標によって、分析対象者の最大酸素摂取量のバラつきを42%も説明できるというものです。

一般人からアスリートといった幅広い人たちを対象とした研究ではなく、選ばれたプロサッカー選手のみを対象として、2本の指の長さだけで最大酸素摂取量の3分の1以上が説明できるのはちょっと意外です。

研究グループは、持久力が重要な長距離走、テニス、ボート、サッカーなどのスポーツにおいて、指の長さの比率がコーチやスカウトにとって有用な指標になる可能性があると指摘しています。

しかし、なぜ単純な指の長さの比がこれほど持久力に影響するのでしょうか?