IPIが管理する「ウクライナ戦争報道自由追跡調査」には、ウクライナでのメディアに対する攻撃件数は404件記録されており、その大部分はロシア軍またはロシア占領当局によって行われたものだ。ウクライナのメディアは頻繁にサイバー攻撃にさらされており、戦争に関する報道が妨げられている。また、占領下のウクライナ領土で働いていた少なくとも17人のジャーナリストがロシアに投獄されたままだ。
ウクライナ人ジャーナリストが直面している安全上の脅威の大半はロシア当局に責任があるが、MFRRの監視は、ウクライナ人ジャーナリストが国内で活動を続ける中で、国内関係者による障害にも直面しているという。例えば、2023年、ウクライナ当局が情報提供を拒否したり、ジャーナリストの活動を妨害したりする事件が31件記録されており、そのほとんどが戦争を言い訳になっているという。
ジャーナリストもまた、「愛国心の欠如」を理由に他の関係者から嫌がらせや脅迫を受けることが増えている。著名な調査記者ユーリ・ニコロフ氏は最近、自宅で見知らぬ人物から嫌がらせを受け、ニコロフ氏が兵役を逃れていると非難されたりしている。
ウクライナ治安局(SBU)の関係者らは、調査機関Bihus.infoのジャーナリストに対して組織的な監視を行い、ジャーナリストの信用を傷つけようとしているというのだ。
ウクライナのメディアは依然として悲惨な状況にある。ロシアの本格的な侵略が始まって以来、同国の広告市場は3分の2減少し、巨額の収入減につながっている。MFRRは、「国際社会と特に欧州の利害関係者に対し、ウクライナメディアへの長期財政支援への取り組みを新たに拡大すべきだ。継続的な支援がなければ、ウクライナのメディアは戦争の状況を世界に伝え続けることができなくなり、多くのジャーナリストが払った犠牲は無駄になってしまう」と警告を発している。
以上、IPIのニュースレターからその概要を引用した。
戦時下のウクライナでジャーナリストが直面する困難さは通常のジャーナルストでは想像できないものがあるだろう。彼らが世界に向かって発信する情報がなければロシア軍の戦争犯罪の全容を掌握できない。戦場で命がけの取材活動する多数のウクライナ人ジャーナリストたちの健闘と安全を祈らざるを得ない。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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