ただ、イスラエル批判を日本の外交政策にどう反映させるかという点において、具体性に欠けた印象はぬぐえない。より明快な態度をとるべきだという主張は、外交政策の方向性を示す大きな論点ではある。だがもう少し「それでは日本はまず何をするべきなのか」が語られないと、有権者の関心も得られにくいということは言えるだろう。

政治家の「外遊」が、お金の無駄遣いだと批判される機会が増えた。これについて大雑把な擁護論もあるが、欧州の観光地に大挙していく「外遊」の意義について、国民が精査を求めるのは、おかしなこととは思えない。

日本の国会議員には、官僚出身者が多い。この階層は、省庁の予算で留学させてもらっている階層だ。国際経験が皆無ではない階層である。私もロンドンのLSE留学時代に、たくさんの政府官僚の方々とお会いした。

ただ欧米の有名大学にこだわり、あとは旧来の冷戦時代からの政府間の付き合いにだけ流されていると、視野が狭くなる。非欧米系の担当になると霞が関における地位が低いかのような偏見が生まれる鋼鉄の人事体系も根深い。

激動の国際社会の中で、未来を構想する視野を培うための経験を持っている方々が、果たしてどれくらいいるのだろうか。

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