まずスクエアな形を作ってから…
アルファロメオ159スポーツワゴンを1/24スケールでフルスクラッチしてみようという企画、第2回である。今回読み進めていただくとわかるのだが、この159については完全なフルスクラッチではなく、とあるキットをベースとすることになった。この場合は「フルスクラッチ」ではなく「セミスクラッチ」と表現する方が自然とも思われるが、そこに明確な定義があるものでもないので、連載のタイトルは変えずに進めることをまずお断りしておきたい。
さて、前置きはこの程度にして、作例を担当するKen-1氏の159ワゴンとのなれそめの続きと、今回の作業についての紹介を、以下お読みいただこう。
前回では、縁に導かれるかのようなワインレッドの159ワゴンを発見したものの……。しかしそのクルマは東京にあるということで、さすがに自分が住んでる京都からだとやはり現実的では無いか? やはり近畿圏に数台ある色違いの159にした方がいいかなとも思ったのですが。待てよ?
今度開催される展示会が東京だし、それに合わせれば見にいくことが可能ではないか?? 何よりワインレッドの個体なんてそんな出てくることないぞ! ……ということで、展示会参加と合わせて都合をつけ東京へ。そこで実車を見ることができたのですが、見た瞬間、もうこれだなと。
色々説明やクルマの状態について聞き、さらに仕事で使うことも考えた各部のチェックをしたものの、すでに買う前提で考えていたので、冷静な判断ができていたかは微妙なところ。幸いクルマの状態は悪くないようでしたし、値段的にもなんとか予算の範囲内で、その時乗っていたインプレッサ・ワゴンがWRXのMTということもあり、それなりの値段がついたこともあって、購入を決意したのでした。
一旦京都に戻り、購入の各手続きをして数日。納車は陸送ではなく乗って帰ることにして、いよいよ引き取りのため再度上京。キーを受け取りそして500km程のドライブをして京都まで連れ帰ってきました。
やはり、今まで慣れ親しんだ国産車の操作フィーリングとは違い、パッと見ではわからない表示やボタン、何よりウィンカーとワイパーのレバースイッチが逆という、慣れるまでは雨が降ってないのにワイパー作動しまくる、輸入車乗り換えあるあるを炸裂しまくりながらの帰途となりました(笑)。
しかし、エンジンのフィーリングやサウンドは、アルファロメオを感じさせる気持ちの良さ。セレスピードの操作感は、その挙動には慣れるまで少し不安な部分があったものの、まさにクラッチペダルのないMTそのもので、MTからの乗り換えの不安や物足りなさはほとんど無く、むしろもっと早くこれに出会っていればよかったと、少し後悔するくらいのものでした。……とはいえセレのもうひとつのお約束であるトラブルに悩まされるのはまた後の話(涙)。
と、このように気分よく無事に帰宅したのも束の間。翌日家族にお披露目しようと動かしてみるとステアリングが妙に重い。「ん?」と思いつつ、しばらく経過するとさらに重さと同時に異音が……。「ウソやろ?」と思いボンネットを開けて確認すると、ステアリングオイルが抜けている!! なんと納車翌日に早速イタ車(アルファ)の洗礼が!!(泣)
聞けば、これ159の持病らしく、リコールまではいかないものの、ある程度経過するとパワステホースが劣化するのですが、それが通常のパイプより早く、ほとんどの車両は数年で交換となってしまうらしい。どうやらまだそれが対策交換されてなかったようで、突然長距離を動かしたものだから、一気に漏れが発生した模様。
ひとまずパーツを交換すれば問題ないのですが、その手配と修理工場の段取りができずで、少しの間はオイルを継ぎ足しながら走るという状況でした。いきなり「アルファを買ったんだなぁ」と教えられたエピソードでしたが、この後、恐ろしいセレのトラブルが待ち構えていたのです……。
実寸からすると違うはずのアレがピッタリ!?
さて、159ワゴンのフルスクラッチですが、前回は主にプラン建てと、まずはシャシーをプラ板で切り出したところまででした。先ずはカタログの側面図を1/24に計算してプリントアウトし、それを透明プラ板に写し取りガイドを制作。その後、プラ板をベースに組んでいく、またはバルサ等で形を出してバキュームで作るかなどと色々と考えていたのですが、やはり強度を考えるとどれも不安がある。
何か芯に使えるものがあるといいのだけれど……と考えていると、車格的に近いアコードワゴンがキット化されているのを、ふと思い出しました。確かアオシマからUSアコードが出てたなと検索してみると、他にその次のモデルもアオシマ、さらにワゴン最終タイプがフジミから出ているのを発見。
この最終型、ディメンション的に159ワゴンに近くないかと確認してみると、やはりピッタリでは無いもののかなり近いことが判明。早速入手してみると、なんとキットボディのホイールベースが1/24の159とほぼ同じ!(確か実車の寸法からすると違ったような気が……?)
これ幸いと、このホイールペースを基準に形状出しを進めていくことにし、まずはリア周りの形状の違いと、オーバーハングの長さから判断して、ボディ後端を短くカット。フロント側は逆に短いのでプラ板を利用して延長。トレッドも狭いのでプラ材を当てがい、外殻を159の数値に合わせ、そしてさらにエポパテを充填して、形状出しに備えます。
盛ったエポパテをまずスクエアな形状に整えてから各部を削り出すようにすれば、基準が取れ、イメージの迷子になりにくくなります。ガイドのプラ板や画像(幸い実車資料がすぐ手元にある訳なので、写真撮り放題)を見ながら少しづつ形状を出していきました。過程画像を見て頂けると、あくまでアコードワゴンは芯でしかないことを理解していただけるのではないでしょうか。
この方法はどうしても元キットのイメージに引っ張られてしまいやすいため、いかに事前に特徴的な形状を消してしまうかがポイントで、その為パテを盛りつけた際、特徴のないスクエア形状にしてイメージをリセットしておくと、惑わされにくくなると思います。
さて、まだ調整は必要ですがだいぶ159の特徴的なフロント形状が生まれてきてくれたように思います。次回はリア側の形状出しに入っていく予定です。少しずつ159が生まれ出し、手応えと楽しさを感じています。ぜひ次回もお楽しみに!!
作例制作・文章・写真=Ken-1
文・秦正史/提供元・CARSMEET WEB
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