長寿マンガ・アニメが時折見せるホラー回は、その多くが通常コメディや日常のほのぼのとした様子を映し出す物語である分、より一層の恐怖感が残るものとなる。人気アニメ『クレヨンしんちゃん』にもそのようなホラー回がこれまでいくつも放送され、中でも強烈なトラウマを植え付けたであろうものが「なぐられウサギ」の存在だ(放送回によって「殴られウサギ」「なぐられうさぎ」などの表記ブレがあるが、ここでは統一する)。
なぐられウサギは、主人公、野原しんのすけの幼稚園での友人の一人である桜田ネネ(ネネちゃん)の母親が、怒りによるストレスが高まった際に用いる大きなウサギのぬいぐるみである。そのウサギの耳を束ねて掴み、壁に寄せてそのウサギの腹を殴り続けるというのが定番であった。
かつては、ネネちゃんがその様を見て怖がり「いつものママじゃない」と泣き出すのがお約束であったが、後にしんのすけに好意を寄せる酢乙女あい(あいちゃん)が登場するようになって以来、母親と同様のパターンでそのウサギの腹を殴る様子が頻繁に見られるようになった。
元々は、「しあわせウサギ」という商品名で販売されていたぬいぐるみであった。だが、ネネちゃんの元に買われてまもなく、しんのすけの訪問でネネちゃんの母親がストレス発散のためにぬいぐるみの腹を殴り始めたのが最初となり、この時はぬいぐるみ自身も「うさばらしウサギ」と自虐していた。
本来このウサギは、おままごとの時にぬいぐるみをぞんざいに扱ったしんのすけに怒ったネネちゃんの夢に現れ、「しんちゃんも悪気はなかった」と言って諭し慰めるような非常に心優しいぬいぐるみであった。しかし、ネネちゃんまでもが殴るようになってから本格的に性格が捻くれてしまったようであり、のちに桜田母子への復讐のために夢の中で恐怖を植え付けたことをはじめとして、それ以降数度に渡りアニメホラー回の常連として登場するようになっていった。
なぐられウサギが動き出すのは月が赤く輝く夜。一切表情を変えず、また抑揚のない棒読みのような喋り口調がより一層の恐怖を与える。悪夢での登場が徐々に現実世界でも異変を起こす存在となっていき、ネネちゃんが恐れをなして捨てようとするもなぜか捨てることができない、いつの間にかベッドの隣に現れる、周囲の子供たちを巻き込んで幻覚を見せたりと、その脅威は登場を重ねるごとに強くなる一方である。
ある時、しんのすけの家に遊びに来たネネちゃんが持参したそのウサギを忘れて帰ってしまった。ウサギを見て何かを察したしんのすけの妹ひまわりによって、屋外のシロの犬小屋がある庭に放り出され、そこでシロとなぐられウサギが会話をする場面がある。
そこでは、「痛みを知らない私を殴って何が楽しいの?」と素朴な疑問であるのか不満なのか不明であるが、そう言いながら自分の顔を殴りつけるウサギの様子を怖がりつつも、心配しながら励まそうとする健気なシロの様子が描かれた。最後にはネネちゃんが気づき無事ぬいぐるみは引き取られていったのだが、ネネちゃんにおぶられたウサギが、離れたくないという思いなのか、それとも憎しみからであるのか不明ながら、ネネちゃんの首元に腕を回しぎゅっと締め付けるような形で終わりを迎える。
今風に言えば、充分に呪物ともいえるその存在感は、子供達はおろか視聴した大人でもゾッとするような存在だ。一方で、アニメで殴られウサギの声を演じているのは、実は当時野原しんのすけの声優を担当していた矢島晶子であることはあまり知られていないようである。なお、彼女が降板する前年(2017年)にてなぐられウサギが放送されたのを最後に新たな登場回は確認されていないようである。因みに、クレヨンしんちゃんのグッズの一つとして数種類の大きさの(最大1m近い)なぐられウサギぬいぐるみが実際に販売されている。
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文=ZENMAI(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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