氷河期が到来? 世界的な気候変動も

 もしAMOCが完全に停止すれば、メキシコ湾流の弱体化や、世界的な気候パターンの混乱など、壊滅的な影響が及ぶと予想されている。

 科学者たちは、AMOCが最後に完全に停止したのは約1万2000年前の最終氷期末期であり、当時、西ヨーロッパの気温は10℃も低下したと推定している。

 AMOCの停止は、特に北欧諸国において深刻な寒冷化と「前例のない異常気象」を引き起こすと考えられている。

 ヨーロッパ北西部に位置する島国は、AMOCによってメキシコ湾から北上する暖流の影響で温暖な気候を保っているため、AMOCの停止は、この地域に深刻な影響を与える可能性がある。

 これまでの研究では、AMOCの停止によってイギリスの冬季の平均気温が10℃から15℃も低下する可能性が示唆されている。