丸亀城は、香川県丸亀市の亀山に築かれた城である。亀山城、蓬莱城などとも呼ばれ、天守や大手門が国の重要文化財にもなっている名城として知られている。武将の生駒親正(いこまちかまさ)が子の一正とともに5年がかりで築城した平山城であり、のちに廃城となったところを大名の山崎家治(やまざきいえはる)が再築することとなった。
丸亀城は、「石垣の名城」とも呼ばれるほどに石垣を築く技術が優れていた。美しい曲線によって絶妙な反り返しとなっており、その上部がほぼ垂直となっている丸亀城の石垣は、美しさと防衛を兼ね備えていた。城主が家来たちに石垣を登るよう試したところ、誰も登りきることができなかったことから、いかなる敵であろうと登って攻めてくることはできないだろうと言われたという。
だが、この高い水準で築き上げられた石垣に、城主は一つの懸念を抱くこととなった。そのきっかけは、この石垣を創り上げた石工の羽坂重三郎という人物が、「自分なら簡単に登れます」と言ったことにある。讃岐でも名の知れた石垣作りの名人と言われた羽坂は短い鉄の棒を使って、いとも簡単に石垣を登って見せたのだ。
万が一彼が敵に寝返ってしまえば簡単に攻め入られてしまう、あるいはこの登り方を敵に知られては一大事だ、と考えた城主は、彼を口封じする信じられない案を思い至った。羽坂が井戸の底で作業していた時のこと、なんとその井戸の中で石を落として彼を殺してしまったのである。
これ以来、井戸に落とされた石工の幽霊が現れる、または井戸の傍で火の玉が出るといった噂が後を絶たなくなり、二の丸井戸にまつわる怪談として現在も語られるようになっているという。この井戸は、深さ65メートルにも及ぶ日本一の深さを持っているとも言われており、一説には脱出用トンネルがあるとの言い伝えもあるという。
さらに、この丸亀城は建築中に、堅固な城にするため、あるいは石垣工事が難航していたため、人柱を用いたという伝説がある。ある雨の日のこと、作業場の近くを毎夕通りかかっていた一人の豆腐売りをみなで捕らえて、穴に落として生き埋めにしてしまった。その後、石垣は完成したものの、それ以来雨の日になると石垣または地中から「トーフ・・・トーフ・・・」と言う泣き声が聞こえてくるようになったのだという。
因みに、石工の幽霊については続きもある。人魂のようなものがあまりにも目撃されることで誰も井戸に近付かなくなってしまった頃、城主がふと井戸を覗き込むと血まみれの石工がいた。城主が恐怖で驚いていると、石工は一言「井戸の中に怪しい人間はおりません」と告げたという。そのため二の丸井戸の幽霊については、殺した城主に対しても忠誠を貫いた石工という話もある。
こうした、井戸で殺された石工の幽霊や人柱にされた豆腐売りの泣き声といった伝説から、丸亀城は心霊スポットとして扱われることもある。上記の2つの伝説は、後世の創作である可能性も考えられる。いずれも少なからず石垣に絡んでおり、その美しい石垣の背景に実は恐ろしいいわくがあるのではないかという、現在でも都市伝説で見られる心理が反映されたものであるのかもしれない。
提供元・TOCANA
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