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シャープは9月、EVのコンセプトモデル「LDK+(エルディーケープラス)」を都内で世界初公開した。
実車を見ると、ボディスタイルとしては両サイドスライドドアのミニバン。「アルファード・ヴェルファイア」というより、「ハイエース」のキャンピングカーや、日産「キャラバン マイルーム」っぽい車内空間の雰囲気がある。
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大きなモニターがあり、シャープ独自のAI(人工知能)を活用した音声認識など最新技術を駆使する。そんな話を聞いても、自動車ユーザーの多くは「家電メーカーでありがちなイメージコンセプト」と思うかもしれない。または、「ソニーホンダに対抗するのか?」という見方もあるだろう。
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シャープEVの実態は、シャープの親会社である台湾の鴻海(ホンハイ)科技集団(Foxconn) が自社で手掛けるEVプラットフォームだ。今回の展示では、そのベース車となる「モデルC」が置いてあり、関係者によれば「シャープの独自企画として、Foxconnと連携した」という。
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つまり、モノとしては「LDK+」は短期間に量産が可能だ。Foxconnといえば、アップル「iPhone」を筆頭として、グローバルでのIT巨大企業の製品を委託開発・委託生産することで2000年代以降に急成長した企業グループ。いわゆる「アップルカー」についても、実質的にFoxconnが対応するのではないかという噂が実しやかに広まったこともある。
アップルとしては、自動運転EVの基礎技術について「プロジェクト タイタン」と呼ぶ社内組織がプロトタイプ開発を進めていたこと認めている。現時点でアップルカーの話は具体化しておらず、それに代わるようにシャープEVが世に出たことになる。
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一般論としては、Foxconnはアップルカー開発を通じて、自動運転EV開発のノウハウを蓄積したと考えられ、企業機密に触れない中で、その知見はシャープEVに活かされることになるだろう。その上で、FoxconnもシャープもEV量産について本気である。
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シャープは5月発表の「中期経営方針」の中で、2025年から2027年をシャープとしての再成長期と位置付けており、その柱となるのがAI、次世代通信、そしてEVだからだ。自動車メーカーとは違う商流、そしてビジネス感覚を持つシャープが次世代自動車での伏兵になることは否定できない。
まったく新しい発想での、ユーザーとEVとの関係が具体化することを大いに期待したい。
文、写真・桃田健史/提供元・CARSMEET WEB
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