5.犯罪が増えることによって刑務所の囚人も急増。しかも、犯罪者が外人であっても2年在住して市民権を獲得すると法律上国外に追放できないことになっている。その数はおよそ1万5000人。彼らは国外追放ではなく、刑務所にエクアドル人と同じく収監された。

6.刑務所内でもギャング組織同士で争いが頻繁に発生。その中でギャング組織が刑務所内を支配するようになった。そして、そこから携帯電話で市街にある同じ仲間に犯罪指示を出すのである。

7.麻薬が持ち込まれるようになると、それを扱っているメキシコやコロンビアの元締めがエクアドルのギャング組織と連携を結ぶようになった。

8.エクアドルには22組のギャング組織が存在している。その中の主要組織が特にメキシコの麻薬組織シナロア(SINALOA)かハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン(CJNG)と協力関係を結ぶようになった。

22あるギャング組織の主なものを次に列挙すると、ロス・チョネロス(Los Choneros)、ロス・ロボス(Los Lobos)、ロス・ラガルトス(Los Lagartos)、ロス・ティゲロネス(Los Tiguerones)などがある。

この中で最大規模はロス・チョネロスで、シナロアの子分といった関係で活動している。また組織としても一番古く90年代に誕生。そのメンバーはおよそ12000人。リーダーはホセ・アドルフォ・マシアス(通称フィト)。

次に重要な組織はロス・ロボスで、メンバーは8000人。ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンの子分として動いている。このリーダーはウイルメール・チャバリア(通称ピポ)で、警察当局によると死亡したとされている。が、明らかになっていない。

この2つ以外の他のギャング組織もメキシコかコロンビアの麻薬組織からの支援を受けて活動している。

遂にテレビ局までギャング組織が乱入

今月9日に覆面をした武装集団が生放送中のテレビ局のスタジオに乱入するという事件が起きた。と同時に全国の5か所の刑務所で180名近くの刑務所職員が人質にされた。が、これは数日後に軍隊によって解放された。

この乱入事件に加え、ロス・チョネロスのリーダーフィトが刑務所から逃亡して行方をくらましている。この二つの事が重なって起きたことから、政府は遂に非常事態宣言を発令したというわけである。

若いダニエル・ノボア大統領は企業家として大統領選に出馬して、昨年11月に大統領に就任したばかりである。政治経験がまだ少ない彼にとって手探りで対処しているというのが現状である。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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