【スマートホーム入門ガイド・4】これまでの寄稿では、スマートホームの市場感や、初心者へのおすすめデバイスを紹介してきた。もし、本寄稿を読んでいる人の中に「スマートホームはテクノロジー好きだけのもの」「自分には難しそうだ」と感じている人がいるとしたら、そこには誤解があるかもしれない。実は、スマートホームは誰にとっても身近な存在であり、日常のさまざまな課題を解決し、生活を良くしてくれるものなのである。今回は、スマートホームがどのように日常の課題を解決してくれるのか、その具体的な活用事例を紹介する。
スマートホームでセキュリティに強い家に
ニュースでは住宅への侵入事件の報道が日々見受けられるが、その件数は依然として増えている。社会全体の犯罪件数は年々減少傾向にあるが、住宅の侵入のみに着目すると減少率が低く、特に戸建ての侵入件数が住宅全体の73.3%の割合となっており、住宅侵入・窃盗の標的となっている。また、令和5年の侵入強盗件数も前年比で20.9%増となっている。このようなデータから、防犯性能の低い戸建て住宅が標的になっていることが推察される(出典:警察庁「住まいる110番データで見る侵入犯罪の脅威」)。
こうした社会背景から住まい選びにおいて防犯を重視する人が増えているのだが、スマートホーム機器の導入は、このような犯罪リスクに対応したホームセキュリティに活用することができる。
例えば、開閉センサーを使用すると、不在時にドアや窓の異常な開閉を検知した際、スマホにリアルタイムで通知される。通知を受け取ったら宅内カメラで侵入者を確認し、警察に連絡するなどの対応を行うことができる。また、スマートロックを活用すれば、外出先からでも鍵が掛かっているかどうかの確認を行うことができ、鍵が開いている場合、遠隔操作で施錠することで鍵の掛け忘れを防止することができる。
さらに、万が一鍵を紛失してもアプリで施錠・解錠操作ができるので安心である。ほかにも防犯カメラを導入する事でAI技術を駆使して異常な動きを検知し、警告音やライトで侵入者を追い払うことができる。このようにスマートホームをホームセキュリティに活用することで安全な生活を送ることができる。
親やペットの見守りにもスマートホーム
昨今の高齢化社会の中で、IoTを活用して「離れて暮らす親の見守り」を行うサービスに注目が集まっている。
例えば、配送業者のヤマト運輸は家の電球を交換するだけで簡単に始められる見守りサービス「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」を提供している。このプランは、IoT電球を取り付けることで電球のON/OFFを察知し、異常を検知するとメールに通知が届くという、離れて暮らす家族を見守ることができるサービスだ。
ほかにも、auは家庭向けIoTサービス「au HOME」で「かんたん見守りプラグ」を提供している。プラグを差し込むだけで、気温や湿度、人の動きや部屋の明るさ、コンセントを使用している電化製品の稼働状況などを見守ることができる。カメラではなくセンサーを利用したデバイスのため、親本人に“見られている”感覚を与えずに見守ることができる。
スマートホームの技術は、高齢者だけでなくペットの見守りにも役立つ。ペットカメラを設置することで、外出中でもスマートフォンを通じてペットの様子をリアルタイムで確認できる。音声機能付きのカメラであれば、ペットに声をかけて安心させることもできる。
さらに、温度センサーを設置すると自動でエアコンや床暖房をつけることができ、留守中もペットにとって快適な空間をつくってあげられるのだ。このようにスマートホームを大切な家族の見守りに活用することで、安心感を持って日々の生活を送ることができる。
スマート宅配ボックスで荷物をすぐ受け取り! 「物流2024年問題」解決へ
新型コロナウイルスの拡大が落ち着き、出社回帰の動きも出てきた。そういった中で、平日に家を空けることが多い人にとっては、荷物がなかなか受け取れず再配達の手間がストレスになっている。
物流業界では、2024年4月の働き方改革関連法の施行による「物流の2024年問題」が社会課題となっている。配達員の残業規定が厳しくなり、人手不足が深刻化する中、効率的な配達がますます求められる状況だ。
そこで活躍するのが、荷物が届くとアプリに通知が届く「スマート宅配ボックス」。この仕組みによって不在時でも安心して荷物の受け取りが可能になる。さらに、ボックスは施錠されるため、盗難のリスクが軽減され、セキュリティ面でも安心だ。スマート宅配ボックスの導入によって時間指定の再配達の必要がなくなり、物流業者の負担軽減にも寄与する。
スマートホームサービスを提供するアクセルラボは、24年7月に配達問題に対応した戸建住宅向けのスマートインターホンの提供を開始した。
このインターホンは「宅配」の専用ボタンが搭載されていることが特徴で、配達員が到着時にプッシュすると、宅配ボックスへの投函を促す音声が流れる。宅配ボックスの存在に気づかず持ち帰ってしまう配達員も少なくないため、この機能により再配達の減少につながる。
利用者にとっても、自宅への訪問の大半が宅配業者になっている現代社会において、いちいち応答せずに自動で配達完了する仕組みは日々の生活の時短に大いに役立つ。
これらの事例のように、スマートホームは単なる便利さを提供するだけではなく、日常生活の中で直面するさまざまな困りごとや、不安を解消するための心強いツールとなる。社会全体が抱える課題や問題解決にも貢献できるポテンシャルを秘めているのだ。(アクセルラボ・青木継孝)
提供元・BCN+R
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