ではワクチン接種数との相関はどうか。接種数が最大だったのは2021年だが、この年は前年に引き続いてコロナ死者は少なく、ワクチン接種の効果はほとんどなかった。

それが大きく変わったのが2022年である。年初からコロナ死が増え、同時に超過死亡数も増えた。このときはワクチン接種数と同期しているが、夏以降は接種と無関係にコロナ死者が激増し、23年1月にピークになった。

2023年5月に5類に落としてからコロナ死者数は前年より減った(超過死亡数は過大に出ている)。ワクチン接種との相関はランダムで、無関係である。

図2からいえるのは、超過死亡の増えた最大の原因はコロナ関連死だということである。これは直接感染しただけではなく、コロナの軽症患者に医療資源が過大に配分され、他の重症患者が後回しにされたことも原因だろう。

それは図3のように老衰(死因不明)や心疾患が増えたことでもわかる。寝たきりの患者の延命をあきらめて「お看取り」したケースが多かったものとみられる。

ワクチンは効果がなかったことが問題

もちろんワクチン接種で死亡する確率はゼロではない。特異体質で死亡する可能性はあり、厚労省の集計では累計で60人である。もちろんこれは厚労省が公式に認めた最小限の死者数だが、ワクチンのメリット(重症化を防ぐ効果)は、2021年まではこれより大きかったと思われる。

しかし日本では、2020年にはワクチンがなかったのに、ヨーロッパなどに比べて桁違いに死者が少なく、ワクチンを打った21年から死者が増えた。これはウイルスがデルタ株に変異した影響だろう。この年には(武漢株の)ワクチンを接種したが、ほとんど効果がなかった。

2022年から日本人に免疫のないオミクロン株が増え、流行の様相が大きく変わった。軽症の風邪が激増し、死者も増えた。ワクチン接種も増えたが、ほとんどきかなかった。8月や12月にはワクチン接種が増えたのにコロナ死者が増え、超過死亡数も最大になった。