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(前回:再生可能エネルギーの出力制御はなぜ必要か③)

結局、火力発電を活かすことが最も合理的

再エネの出力制御対策パッケージをもう一度見てみよう。

需要側、供給側、系統側それぞれの対策があるが、多くの項目が電力需給のバランスを維持したり周波数制御を行ったりするのに欠かせない「調整力」の拡大を念頭にしたものだ。

図1 出力制御対策パッケージ出典:経済産業省

さまざまな対策がある中で、供給側の対策のひとつとして「火力等発電設備の運用高度化」という項目があるが、これは既存の設備・技術の潜在力を引き出すことであり、実効性・即効性の高い対策である。では、具体的にどういう内容であろうか。

火力機の最低出力引下げもその一つなのではあるが、それ以外にも出力変化速度の向上や起動時間の短縮などがあり、これらを組み合わせることで、日暮れや天候の急変による再エネ出力変動による需給ギャップへの対応力を向上させることができる。

このように、火力機の性能向上を図ることによって調整力を拡大することができ、安定供給確保と再エネ出力抑制低減の両立が可能となるのである。

図2 火力設備の調整力一覧

調整力については、従来送配電事業者の公募により調達されていたが、2021年度より順次需給調整市場へ移行し、2024年度から全面的に市場からの調達へと切り替わる。