国王や女王に即位することは決して容易ではないだろう。だから、国王に就任したくないという王室関係者も出てくる。逆に、なぜ自分は国王に即位できないのかと不満を吐露する王室関係者も出てくる。

マルグレーテ女王はフランス人のヘンリック殿下と結婚したが、同殿下は生前、何度も「どうして夫の自分が国王に即位できないのか」と不満を漏らしていたという。一方、長男として生まれたフレデリック皇太子は「自分は国王にはなりたくない」と考えていたし、弟(ヨアキム)は「自分のほうが国王に相応しい」と述べていたという。ちなみに、フレデリック皇太子は新国王に即位した直後、「自分は生まれてからこの瞬間を迎えるために準備してきた」と述べ、国王としての任務を全うする決意を表明している。

前日のコラム欄でも書いたが、マルグレーテ女王が退位したことで、欧州の11カ国の王室では女性君主はいなくなった。オランダのベアトリックス女王は33年間在位した後、長男の現国王に王位を譲った。英国のエリザベス女王が96歳の高齢で死去した後、息子のチャールズ皇太子が新国王に即位した。エリザベス女王は70年間在位していた。そしてマルグレーテ女王が52年間の在位後、女王の座から自ら去ったわけだ。

欧州の王室関係者の高齢化は進み、退位する時期を見つけ出すことが難しくなってきた。ローマ教皇の終身制はドイツ人教皇ベネディクト16世の生前退位表明で崩れた。そしてオランダやデンマークの王室のように、存命中に後継者に王位を継承する傾向が今後、欧州の王室で定着していくのではないか。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年1月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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