Catshila/iStock

間もなく79回目の終戦(敗戦)記念日がやってきます。日本を破滅のどん底に突き落としたあの悲惨な大戦争の記憶は、私たちのような高齢者はもとより、戦後生まれの人々にとってもいまだに鮮明に残っていると思います。

そして、私たちは、事あるごとに「戦後〇年目」という言い方をします。そうすることによって、私たちは、戦争の惨禍の記憶を風化させず、日本が再び戦争への道に迷い込まないように、自らを厳しく戒めることは確かに大事なことです。

「戦後」と「戦前」

しかし、80年近くも経って、いつまでも「戦後」という認識だけでよいのでしょうか。私は、最近の国際政治状況を見るにつけ、いつまでも「戦後」という視点だけではなく、「戦前」という視点でものを見る姿勢が必要な時代になっているのではないかという気がしてなりません。

もっとはっきり言えば、日本人がいつまでも「戦後」にこだわり、「平和」志向オンリーでその先を考えないという一種の思考停止状態に陥っている間に、次の大戦争、すなわち「第3次世界大戦」の危機が徐々に迫っていることに気付かずにいるのではないか。確かに日本は憲法で戦争放棄を宣言したけれども、戦争が日本を放棄したわけではなく、戦争の危機は外から容赦なく迫ってきているのではないか。そのような戦争の序曲はすでに始まっているのではないかと感じています。

覇権を狙う国々

日本人は、もう戦争はこりごりだと思っていますが、世界には、まだ大戦争をしたことがなく、世界の覇権を握ってみたい、そのためには事と次第によっては戦争も辞さずと考えている国が存在しているようです。

国際政治の仕組みは、リーグ戦ではなく、トーナメント(勝ち抜き)戦です。過去100年の歴史を振り返ってみると、かつて一流国であったイギリス、ドイツ、フランス、日本などは準々決勝戦くらいで敗退し、現在では単独で世界規模の大戦を戦う力はありません。