結婚後の幸せを測る尺度は様々ですが、今回ホー氏ら研究チームは、「身体的・精神的健康と幸福感の伴った老化」に焦点を当てました。
通常、老化によって人の健康状態は悪化するものです。
しかし、人によってはストレスや生活上のトラブルによって、同世代の人々よりも健康状態が悪化したり、幸福感が薄くなったりします。
研究チームは、結婚がこの老化のパターンにどのように影響を与えるのか興味を持ち、調べることにしました。
つまり、「健やかに年を重ねているか」という観点で未婚の人と既婚の人を比べたのです。
ホー氏らの研究では、「加齢に関するカナダ縦断的研究(CLSA)」の2011~2018年のデータが使用されました。
対象となったのは中年以上のカナダ人7641人(男性3926人、女性3715人)であり、それぞれの対象者を約3年間にわたって追跡しました。
その間で、身体的・精神的健康、幸福だと感じているか、社会的な繋がりがあるか、といった要素を調べ、彼らが健やかに年を重ねることができているか分析しました。
男性は結婚すると「健やかに年を重ねる」可能性が2倍高くなる
分析の結果、既婚男性(調査期間中に結婚した男性を含む)は、未婚の男性に比べて、健やかに年を重ねる(健康的で幸福度が高い)確率が2倍も高いと分かりました。
全ての人がそうだとは言えませんが、全体的に、男性は結婚したほうが幸せになる可能性が高いのです。
一方、女性では既婚と未婚の間に大きな差は見られませんでした。
つまり女性の場合は、結婚したからといって独身の時より幸せになるとは限らず、逆に「独身を貫いた方が幸せだ」とも言い切れないようです。
ただし、未婚の女性と調査期間中に夫と死別または離婚した女性を比べた場合では、未婚の方が健やかに年を重ねることができていました。