自動車保険は1年ごとにおとずれる更新時期が見直すきっかけになりやすい。保険料を抑えたり、サービスを充実させたりできるなら他社の自動車保険への変更も検討したいところだ。変更するタイミングや契約内容によっては損をする可能性もあるので注意したい。
自動車保険の変更は保険期間満了に合わせたほうがお得
自動車保険の変更はいつでもできるが、保険期間の満了に合わせたほうがメリットは高い。
無事故なら保険期間満了に合わせて変更すると等級アップ
自動車保険は事故歴によって等級が決まり、保険料の割引や割増に影響する。等級制度は各保険会社での運用方法がほぼ共通になっている。1~20等級まであり、最初は6等級からスタートだ。保険期間中に無事故で過ごせれば次の継続契約時に1等級アップし、保険を使う事故を起こしてしまった場合は基本的に3等級ダウンとなる。
等級は他社の自動車保険に変更しても引き継げるが、以前の契約期間中に無事故だった場合は保険期間満了に合わせて契約したい。等級は通常1年単位である保険期間ごとにカウントされるので、満期のタイミングで変更すれば1等級アップして新しい契約を結べるからだ。
等級の割引以上に保険料などでメリットがあるなら保険期間中の変更も検討したいが、よく確認する必要はあるだろう。
自動車保険の変更前後で期間が空くなら中断証明書を申請する
等級は新しい自動車保険に引き継げるが、期限が決まっているので気をつけたい。等級を引き継ぐには、自動車保険の解約翌日から原則7日以内に新しい契約に変更しなければならない。それを過ぎると等級がリセットされてしまうため注意が必要だ。
どうしても期間が空いてしまう場合は、「中断証明書」を保険会社から発行してもらえる。中断証明書があると、解約から7日以上経過しても等級を維持したまま次の自動車保険に加入できる。発行には一定の条件もあるが、最長10年まで引き継ぎ期間を延ばせるため、変更までの期間が空くなら申請したい。
保険期間満了前に自動車保険を変更するときの2つの注意点
保険期間満了を待たずに自動車保険を変更する場合、注意しておきたいことがある。
保険期間中の自動車保険変更は等級アップが遅れる
無事故の人が保険期間中に自動車保険を変更すると、等級アップの時期が遅れる点には注意したい。保険を切り替えた日から等級アップするまで新たに1年間無事故で過ごさなければならないからだ。事故を起こした人なら等級ダウンを遅らせることにつながるが、無事故の人が途中で変更すると損をする可能性があるのだ。
年払いの自動車保険料の解約返戻金は少ない
保険料を年払いしている場合、自動車保険を保険期間途中で解約すると、支払った保険料の一部が解約返戻金として返還される。しかし、解約返戻金は経過していない期間分の保険料がそのまま返ってくるわけではない。返還額は保険会社ごとの「短期率」によって計算されるが、一般的に支払った保険料より少なくなるのだ。
保険期間満了前に自動車保険を変更する場合は、解約返戻金も考慮してタイミングを検討するのがいいだろう。
自動車保険の変更手続きで確認しておきたい2つのこと
自動車保険の変更手続きをするときに確認しておきたいポイントは以下の2つだ。
変更先の自動車保険に早期割引があるか
自動車保険によっては、保険開始日より1~2ヵ月前に契約することで保険料の割引を受けられるところもある。年間500円程度の割引だが、保険料が安くなるのに越したことはない。早期割引はダイレクト型の自動車保険に多いので、検討する自動車保険のホームページをチェックしておきたい。
現在の自動車保険に自動継続特約がついていないか
変更先の自動車保険が決まったら、現在の自動車保険に「自動継続特約」が付加されていないか確認したい。自動継続特約がついている場合は、満期のタイミングで切り替えるとしても事前に解約を申し出る必要がある。そのままにしていると現在の契約が継続されてしまうため、忘れずに保険会社で手続きしたい。
自動車保険の変更手続きは余裕を持って行う
自動車保険を変更するなら手続きは余裕を持って進めたい。早めに準備しておくことで等級を引き継げなかった、新しい保険の早期割引を受けられなかったといった事態も避けられるだろう。商品を比較検討するのにもある程度時間がかかるため、現在の契約の保険期間満了時期を確認して行動したい。
文・國村功志(資産形成FP)
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