<TOP画像:サンクト・ペテルブルクの宮殿広場>
こんにちは。モスクワ在住のチェブラーシカです。2024年の初雪は10月14日でした。
「え!?なんで、ロシアが好きなの?」ロシアについて語ると、必ず言われた言葉です。「ロシアへ行く」と言うと、「なんで、恐ろしい国へ行くの?」とも言われました。
日本旅行業協会のサイトによると、コロナ禍前の2019年に11万人ほどの日本人がロシア渡航をしていました。ヨーロッパ地域で日本人旅行者が多いスペインの67万人と比べると、ロシアへの日本人旅行者は少ないと言えます。
そんなロシアに11回も渡航し、住んでしまったのはなぜか?私が魅了されたロシアの魅力を紹介します。
目次
ロシアが気になったきっかけは?
大学受験を1か月後に控えた頃、ロシア民謡が好きな母がCDを買ってきたのがきっかけです。
なんとも言えない哀愁漂う旋律に惹かれたのです。
ロシアが好きになったきっかけは?
それからまもなく高校の同級生が、「この本、おもしろいよ。」と、ひのまどかさんの『星の国のアリア』を貸してくれました。
受験勉強そっちのけで、夢中になって小説を読みました。この小説に出てきたリムスキー=コルサコフのオペラ『金鶏』を、ボリショイ劇場で観てみたいと思い、ロシアが好きになりました。
好きになると、ロシアに関する情報が自然と集まってくるもの。プロコフィエフのオペラ『修道院での結婚』や『ピアノ・ソナタ』などを知る機会もありました。
ロシアへ行くまで不安はなかった?
大学4年の時にプロコフィエフのお墓参りに行きたいと思いました。ただ、その頃テロが頻発していて、怖いなあと思ったのとお金もなかったので、行けませんでした。
就職したあとは仕事が忙しく、ロシアが好きなことをしばらく忘れていました。
ある日、渋谷ロゴスキーのロシア料理を食べ、そこで、ソビエトのアニメーションキャラクターの『チェブラーシカ』を知り、ロシアが好きだったことを思い出しました。
ロシア文化フェスティバルの会員になり、ロシア文化を知る機会が多くなり、この頃、行きたいと強く思い始めました。しかし、ロシア語もできない、キリル文字も読めない、ビザも必要、まだまだロシア渡航は危険と思っていました。
ロシア渡航を後押ししてくださったのは、渋谷ロゴスキーの創業者の息子さんの長屋晃さんでした。コンビニやスーパーへ行くような感じで、気軽にロシア渡航の話をしてきます。
ロシアが気になってから13年後に、やっとロシアへ渡航することができました。
行ってみたらどうだった?〈自然・音楽・文学・建築・料理・美術・ロシア正教・人〉
初めてのロシア渡航は、まさかの氷の雨によるモスクワ大停電に見舞われ、飛行機が飛ばず、12年も思い続けたロシア旅行を成田空港で断念しました。
それから約半年後。初めてロシア旅行が実現しました。飛行機のタラップを降りて、ロシアの大地に立った時に、感動しました。
そして、実際にロシアに着くと不安になることは一切ありませんでした。実際に行ってみて惹き付けられたものの一部を紹介します。
自然
<夫と義父母の生まれ故郷>
国土が広く、バスや鉄道での長時間移動もよくあります。車窓から見た雄大な景色に魅了されました。
バスで移動中は、ラフマニノフやプロコフィエフの音楽、ロシア民謡、チェブラーシカの歌などを聴きながら、景色を眺めていました。
<キジ島の鐘楼から見たオネガ湖と森>
太古からある大自然。暗い時間に車で移動中の道は、街灯がなく、車のライトのみです。隣の村まで果てしなく平原が広がります。
この壮大な景色を目の前にしたとき、待ち合わせの時間に1時間遅れてくることは、ちっぽけなことのように感じました。
このように時間も距離も日本とは違う感覚の地で暮らす人々を前に、ロシアで生活する覚悟を決めました。広大な国に住む人たちの時間の流れは、まったく違います。
音楽
作曲家の足跡をたどる旅は、何度訪れても見切れないほどでした。
<サンクト・ペテルブルクのリムスキー・コルサコフの家博物館>
プロコフィエフ、リムスキー=コルサコフ、スヴィリードフ、グリンカ、チャイコフスキー、ムソルグスキー、バラキレフ、ボロディン、ラフマニノフ、スクリャービン、ショスタコーヴィチなど、博物館やお墓などゆかりの地を訪れました。
文学
オペラなどを見ていると、ロシア文学の作品が元になったものも多く、音楽と文学を切り離すことができません。
<ヤースナヤ・パリャーナのトルストイの屋敷博物館>
トルストイ、ドストエフスキー、チェーホフ、プーシキン、ツルゲーネフ、ゴーゴリ、ソルジェニーツィンなど、文学作品も日本語でたくさん読み、作家の足跡をたどる旅や、小説の舞台になった街歩きなどにも魅了されました。
建築
ロシア独特の建築の数々に魅了されました。
<キジ島に保存されている農民の木造建築>
<世界遺産のキジ島の木造教会>
初めての渡航時に木造でできた農民の家や木造教会を見ることが多く、木造建築に惹かれました。
<モスクワにあるヤロスラヴリ駅>
木造建築だけでなく、他の国にはないロシア独特の建築様式の美しさにも惹かれました。
<サンクト・ペテルブルクにあるエルミタージュ美術館>
<サンクト・ペテルブルク近郊のペテルゴフにある水の宮殿>
また、ヨーロッパみたいな建築もあります。
<モスクワ大学>
さらに、ソビエト時代の独特な建築もあります。
<モスクワシティ>
現代風の建築もあり、街歩きがとても楽しかったです。
コロナ禍でロシアに来ることができなくなり、オンラインでなんとかモスクワの魅力を伝えたいと思い、街歩きを始めました。
旅行で来ていた時よりも今の方がマニアックな情報をたくさん得て、通りによっては、1軒1軒建物の説明ができる所もあります。街中が博物館のようになっています。
料理
現地のロシア料理を食べられることも旅行時の楽しみでした。まだ執筆途中ですが、どんな料理があるかは、こちらをご覧ください。
美術
図工が苦手なので、まったく期待していなかったのですが、ロシア美術をモスクワのトレチャコフ美術館とサンクト・ペテルブルクのロシア美術館で見て、ひとめぼれした作品がありました。
<クインジの『ドニエプル川の月夜』>
印刷や写真では、この絵の良さが出てこなくて、現地で実物を見るのが一番です。この他にもロシアでしか見ることができない素晴らしい絵画がたくさんあります。
ロシア正教
ロシア正教に詳しい方が初めての渡航時の現地ガイドさんでした。バスで移動中に、ロシア正教の10の教えの話をしてくださり、いい教えだなと興味をもちました。
また教会内にただよう蜜蠟の匂い。イコンの芸術品、教会建築のすばらしさ、鐘の音などにも魅了されました。
人
4回目の渡航時に知り合った現地ガイドさんが、「ロシアは、不便なことも多いけれども、人は、世界一です。」と話されました。
出会うロシアの人々はみなさんものすごく親切です。日本人と分かると、ものすごく驚かれ、親切にしてくれます。ある日の地下鉄で、私が日本人と分かると、手を合わせて拝みだしたおじさんがいました。
そして、日本に興味がある夫と知り合い、結婚することになりました。日本とロシアとどちらに住むかを考えた時に、夫の仕事があるロシアを、私の大好きなロシアを選びました。
11回渡航し、ロシアの人たちとも触れ合っていたので、ホームシックになることなく、モスクワで生活しています。一般人も親日の人が多くいますが、親戚もソビエト時代から日本に興味があった人が多いです。
渡航前に準備しておいた方がよかったことは?
1. 歴史の勉強をしておけばよかった
ロシアが好きと言いながらも、歴史を勉強していませんでした。ピョートル大帝、エカテリーナ2世、ニコライ2世、レーニン、スターリンくらいしか知らず、11回も渡航していても、カタカナの名前を覚えるのがものすごく苦手なので、ロマノフ王朝の皇帝の名前なんて、ほとんど覚えていませんでした。
<国立歴史博物館>
ロシアに住むようになって、ロシア語で、ロシア語、ロシアの歴史、ロシアの法律の試験を受けて合格しないといけなかったので、その試験勉強でやっと、ロマノフ王朝の歴代皇帝を覚えました。ロマノフ王朝前やソビエト時代もやっと覚えたくらいです。
旅行前にロシアの歴史をもう少し知っていたら、現地ガイドさんの話ももっと理解が深まったと思いました。
2. ロシア正教の教会に入れる準備をしておけばよかったこと
初めての渡航時に素敵な教会を見つけました。また旅行に行けるか分からないくらいの地方都市です。しかし、教会にふさわしい服装をしていなかったので、目の前に教会があるのに中に入れませんでした。
<町全体が博物館みたいに美しく、私がロシアで一番好きな町。世界遺産のスーズダリ>
女性なら膝より長いスカートと頭にはスカーフを着用し、男性なら短パンやランニングシャツを着ないようにするということを事前に知っておきたかったです。その後は、スカーフとロングスカートを鞄に入れ、教会に行く前に身に付けました。
丈の長い巻きスカートを巻いてもいいので、ロシア正教の教会に興味がある方は、荷物になるけれども女性はスカーフとスカートを持ち歩いておくと、偶然見つけた教会にも入ることができます。
まとめ
世界一広い国土をもつロシア。ヨーロッパ地域とアジア地域があり、多くの民族が住む他民族国家のロシア。
宗教もロシア正教、イスラム教、仏教、ユダヤ教と共存しています。季節によって、まったく違う景色になるロシア。1回の渡航では、当然ロシアを見切れません。
国際情勢が落ち着いたら、ロシアを訪れる人が増えるのを願っています。実際に来てみると、ロシアに対するイメージが変わると思います。
もし行きたい場所などあれば、たびこふれのオンラインサロン内でモスクワを中心にヨーロッパロシアの最新情報などをお届けすることができます。
文・写真・チェブラーシカ/提供元・たびこふれ
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