クレジットカードには無料・有料のものも含め、「家族カード」というサービスがある。会員本人の家族が使うカードを何枚か発行できるものだ。今回は家族カードの検討をしている人に向けて、そのメリットとデメリットを紹介する。
「家族カード」は審査不要で家族が使うカードが作れるサービス
本会員に安定した収入があれば、家族に収入がなかったり少なかったりしても、基本的には審査不要で本会員と同様に使えるクレジットカードが作れる「家族カード」というサービス。便利な仕組みだが、本会員のカード1枚だけ使っているときにはなかった要素が加わるため、それを知って使わないと思わぬ落とし穴にはまることがある。
家族カードのメリット――年会費の節約、ポイントの還元、優待・サービスの家族適用など
家族カードには一般的に次のようなメリットがある。
専業主婦(夫)、収入のない高齢者などでもクレジットカードを持てる
専業主婦(夫)で収入がない、パート・バイト勤めで収入が少ない、定年退職して収入がないといったケース、生計が同一の家族で満18歳以上(高校生を除く)でも、家族カードという形で本会員と同等のカードを持つことができる。
カードを別々に持つよりも年会費が安くなる
家族カードの年会費は無料か本会員よりもずっと安く設定されている。そのため家族それぞれに収入があってカードを作れる場合でも、それぞれが本会員として別々にカードを作るより、1人が本会員となり、あとの家族は家族カードを作ったほうが世帯合計の年会費は安くなる。
クレジットカードのポイントを効率的に貯めることができる
クレジット支払いするとその利用額に応じてポイントが付与されるが、家族カードの利用分にも同様にポイントが付与される。多くの場合、ポイントは本会員に貯まる。
世帯あたりのクレジットカードの数は1枚にし、家族カードを利用することでポイントを獲得する機会が増える。別々のカードで各々ポイントを貯めるよりも、効率的にポイントを獲得していくことができるのだ。
旅行傷害保険などの付帯保険を家族も利用できる
家族カードでは基本的に、本会員のカードの特典・サービスはすべて利用できる。もちろん旅行傷害保険やショッピング保険などが適用される。
家族カードの年会費が無料であれば無料で保険が付帯するため、旅行によくいくファミリーであれば非常に嬉しいサービスだ。
規約違反してしまうことを避けられる
家族の気安さからつい配偶者のカードを使ってしまうことはないだろうか?これは本人の許可を得ていても規約違反であり、カード発行会社に知られたら利用停止や強制解約の可能性もある行為となる。
家族カードを各自が持つようにすれば、クレジットカードの使いまわしを予防できる。
家族カードのデメリット――利用限度額、プライバシーの面での問題なども
いいことばかりにも思える家族カードだがデメリットを起こす可能性もある。以下のようなことを知っておくことで、デメリットを事前に避けられるだろう。
利用限度額上限に達してしまうことがある
カードの利用限度額には、本会員と家族カード会員の合計になる。つまり利用限度額が100万円であれば、本会員と家族カード会員のトータルの利用限度額が100万円ということだ。
各自がどれくらい使っているか把握していない場合、うっかり利用限度額に達して利用停止状態となり、いざ必要なときにカードが使えないこともありうる。
特に家族カードを何枚も発行した場合や、家族が大きな買い物をした場合などには注意が必要だろう。
引き落とす口座は1ヵ所なので管理の手間が増える可能性も
カード利用代金は家族カードの分も含め本会員の口座から引き落とされる。そのため、夫婦で口座を別々に管理している場合などは、支払いの際に金銭の引き渡しなど、面倒な作業が発生することがある。
家族のプライバシーが守られないことがある
カード利用明細は家族カードの分も1つにまとめられて届くため、家族のクレジット利用履歴が本会員にわかってしまう。
プライバシーを守るためにクレジット会社によっては、ウェブ明細書を確認するとき、本会員と家族カード会員が各自でアカウントを持ち、個々の明細を見られる仕組みになっているところもある。
家族の“クレジットカードのNG行動”で思わぬトラブルが
クレジットカードを持つうえでのNG行動として、
- カードの署名欄を空欄のままにする
- 安易な暗証番号を設定する
暗証番号を持ち歩く
といったことがある。これらの行動が原因で万が一、第三者に不正利用されてしまった場合に盗難保険による補償が受けられないことがある。本会員が理解していても家族にその認識がなくNG行動をとってしまい、思わぬトラブルに発展することも考えられる。
デメリットもよく理解して上手に使おう
家族カードは便利な一方で、使い方によっては思わぬデメリットを招くこともある。思わぬトラブルを避けられれば、お得を享受できることは確か。想定されるデメリットをよく理解して使えれば、契約しているクレジットカードの利点を存分に引き出すことができるはずだ。
文・モリソウイチロウ(ライター)
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