そしてこの状況を受け、我が国の政治の最大のテーマである、抑止力を実質的に機能させることで、習近平総書記による台湾侵略への野心を封じ込め、台湾有事・戦争を起こさせないとの点について言えば、「強い相手とのみ交渉し、弱い相手には徹底的に強く出る」との中国の最近の傾向を踏まえれば、対中姿勢が弱腰となる可能性が高かった国民党や民衆党の総統となっていれば一気に攻勢に出られる可能性がありました。

今回の総統選挙の結果として、バランス感覚や実務的判断力を有しつつ蔡英文総統以上に安全保障に関する知見が明確な頼清徳氏が次期総統に台湾国民の支持を得て選出されたことで、日米や同志国との連携を引き続き深化させていく環境は台湾においては整ったと言えます。あとは安定的な政権基盤の構築と、台湾軍自身の実質的な安全保障能力の強化、経済やエネルギーも含めた有事対応の準備を着実に進めていくことが新総統には期待されますし、まさにその手腕を期待されての就任ということにもなろうと思います。

今後は、国際政治的には、2027年の習近平総書記が4期目を目指す中国共産党全国代表大会をにらみ、今年の秋のアメリカ大統領選挙、そして日本において解散・総選挙も含めた安定的な政治基盤構築ができるか否か、等が注目材料となります。また、最近インド・太平洋に回帰しつつあるイギリスでも総選挙が行われる見込みであり、オーストラリアやベトナム、フィリピン、韓国などの政治状況にも留意が必要です。

私自身、先週8日から10日にかけて、ニューヨークとワシントンに出張し、アメリカの台湾への見方、大統領選やそれに絡むアメリカの景気経済情勢、米大統領有力陣営のインド太平洋戦略に関し、連邦議員や政府・軍関係者、有識者、機関投資家と20ほどの面会を行ってきました。様々な意見交換を行いましたが、様々な意味で2024年が極めて重要な一年であり、日米の対応が極めて注視されていることを痛感しました。

与党議員として、日本の国益を守るべく日台関係のさらなる強化、中国に台湾有事や東アジアでの戦争を起こさせない状況の構築に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。

編集部より:この記事は、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区、自由民主党)のブログ2024年1月13日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家 鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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