イスラエル空軍は1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館を空爆し、そこにいた「イラン革命防衛隊」(IRG)の准将2人と隊員5人を殺害した。これを受け、イラン最高指導者ハメネイ師は2日、イスラエルに対して報復を表明、軍は厳戒体制を敷いている。それ以来、イラン国営IRNA通信は激しいイスラエル批判を展開し、明日でもイスラエルとの戦闘が始まるような緊迫感が漂っている。
もちろん、イスラエルを「宿敵」とするイラン当局の反イスラエル路線は今始まったわけではない。冷静な読者ならば、IRG司令官の英雄、カセム・ソレイマニ将軍が2020年1月、バクダッド国際空港近くで米無人機の攻撃で殺害された時、イラン全土で追悼集会が開催され、イラン当局が米国に対して報復を宣言した時を思い出すかもしれない。
イラン当局は当時、米国批判を高め、直ぐにも対米戦争を始めるのではないかといった雰囲気があったが、さすがに世界最強国米国と一戦を交えるほどの軍事力がないことを知っていたから、対米戦争宣言は避けた。今回もイスラエルを批判するが、イラクかシリアからミサイルをイスラエルに向けて数発撃ちこんでメンツを保つのではないか。イラン聖職者政権は今年2月、イラン革命45周年を祝ったが、中東の軍事強国イスラエルとの正面衝突は躊躇せざるを得ないからだ。
そのように考えていた時、イランIRNA国営通信が7日、「ガザ紛争でイスラエル経済が危機に陥っている」という経済記事をグラフを付けて報じたのだ。記事のタイトルはIsraeli-economy-continues-to-suffer-as-Gaza-war-drags-onだ。
IRNA通信は「公式統計と報告書によると、イスラエルの国民経済は巨額の損失を被り、通貨シェケルの対米ドルレートが過去8年間で最低水準に達している。パレスチナのハマス抵抗運動がイスラエル占領地南部で前例のないアル・アクサ嵐作戦を開始した10月7日、シェケルは3%以上下落して3.96ドルに達し、イスラエル中央銀行は通貨変動に対処するために最大450億シェケル(114位億ドル)の支出を余儀なくされた」と報じている。IRNA通信は「これはブルームバーグに語った元イスラエル中央銀行総裁カーニット・フルーグ氏の発言だ」とわざわざ断っている。イラン側のイスラエル経済への批判的解説記事だ。