横浜FC 写真:Getty Images

 元日本代表FW三浦知良の古巣・ポルトガル2部UDオリヴェイレンセと育成業務提携を結んでいる同国4部ペヴィデンSCは、10月20日に行われた国内カップ戦で強豪ベンフィカに0-2で敗北。試合後、日本人オーナーの石塚辰八氏を標的とした差別的言動を巡り、事態が深刻化している。

 2023年から石塚氏がオーナーを務めるペヴィデンSCには、横浜FC下部組織出身のMF井上惇をはじめ日本人選手が3名在籍。同年8月には、『株式会社ONODERA GROUP』が保有するUDオリヴェイレンセと育成業務提携を結んでいるが、横浜FCの公式サイトでもUDオリヴェイレンセによるサッカー留学事業の一環として、「選手の年齢や実力に応じて、ペヴィデンSCのトップチームへ練習参加を選択することも相談可能です」などと紹介されている。

 ポルトガル紙『ア・ボーラ』によると、石塚氏は試合前の会見で「我々にとって、ベンフィカ戦は非常に重要な試合です」「ベンフィカを倒すつもりです」などと、強豪相手のジャイアントキリング達成に意欲を見せていた。

 しかしこの発言を受けて、ポルトガル国内では石塚氏に対するSNS上での差別的なメッセージや外国人排除を求める声が噴出。試合後、ペヴィデンSCのルイ・マチャド会長は「ポルトガルサッカーは石塚氏に値しないが、ペヴィデンSCは値する。我々は石塚氏に感謝している」と日本人オーナーを全面的に擁護した上で、以下のように声明を発表した。

 「石塚氏は地球の反対側から来て、我々の国を新たな故郷として選び、私財を小さなクラブに投資している。他の人ならば至って普通の発言とみなされるようなことでも、外国人だとして批判を浴びている。我々にとって石塚氏は重要な存在だ」

 欧州ではサッカー界に限らず、アジア人差別が日常茶飯事だ。MF本田圭佑(現パロFC)もオランダ1部VVVフェンロ在籍時に被害に遭っていたが、こうした現地サッカーファンの差別的言動に対する向き合い方も考えられる必要がありそうだ。