2次元的なモデルの多くでは、波が砕けて先端が白くなる部分が最も先端になります。

左の左から右に移動する波は先端部分がひっくり返り、右の波は中央の波が左右から押されるようにして頂上を形成します。

この2つの場合、波が砕ける砕波の減少が起きると、それ以上波は高くなりません。

研究者たちも「通常の波は1度砕けると白い波頭を形成し、元には戻りません」と述べています。

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3次元の波は砕けるとさらに勾配がきつくなり上方向に水が噴出するような波を作ることがあります/ Credit : The University of Edinburgh Official Website

次に研究者たちは奥行きを考慮した状況を再現する為、巨大な円形造波水槽を利用し、複数方向から押し寄せる波が合わさったときに何が起こるかを調べてみました。

すると波が合わさった瞬間に、個々の波の2倍の高さを持った異常な波が出現することが判明。

また波の傾きは2次元モデルで予想されていたよりも2倍から4倍急になることがわかりました。

さらに3次元波は波が砕ける「砕波」が起きた後も、波の傾きが80%も増し続け、結果的に上の図のような垂直に噴出する現象が観察されました。

研究者たちは、このような現象が起こるのは、複数方向からやってきた波が同時にぶつかることでエネルギーが集中し、上方向にエネルギーが逃げることが原因であると述べています。

特に台風などが発生すると、波の方向が複雑化し、複数方向から来る波が1カ所に集まる地点が多数出現し、結果として異常な3次元波が頻発すると考えられます。

虫メガネなどで複数の光を集めると高温になるように、複数の波が衝突する1点では垂直に切り立った3次元波が出現し得るのです。

研究者たちはプレスリリースの最後において、今後計画されている海上風力発電所などは3次元波の脅威を考慮したものにするべきだと述べました。

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