国民民主党が最低保障年金を打ち出した。50歳を超えた就職氷河期世代が大量に無年金老人になることへの対策だ。

なんと共産党まで「全額税方式」の年金改革を打ち出した。

今の国民年金は未納・免除が半分近く、受給年齢になっても年金をほとんどもらえない無年金老人が大量に発生する。その対策として厚労省は厚生年金を適用拡大し、来年度から全企業に厚生年金への加入を義務づける方針だ。自民党もそれを公約しているが、中小企業の人件費は3割増の大増税になる。

最低保障年金で「年収の壁」はなくせる

今は年金の1階部分の半分を年金保険料、半分を国費で出すことになっているが、現実には(第1号と第3号あわせて)7.6兆円の支給額のうち保険料は1.4兆円しかなく、6兆円以上の赤字を税金と厚生年金保険料で埋めている。それが基礎年金勘定というダミーの年金勘定のトリックである(図1)。

図1 基礎年金勘定の収支(2022年度)

さらに問題なのは、この第3号被保険者の最低年収が130万円なので、パートの主婦が「働き控え」で所得を130万円以下におさえる年収の壁である。これについて連合は、その段階的な廃止を提案した。

しかしこれはパート賃金の上限を下げて主婦の収入を減らすので、反対が強い。逆に国民民主党の公約のように基礎控除を178万円に上げると、所得税収は3.8兆円も減ってしまう。