イタリアの高級ファッションブランド、プラダが、次世代宇宙服のデザインを発表した。宇宙開発企業のアクシオム・スペースと提携し、NASAが進めるアルテミス計画の有人月面探査ミッション「アルテミス3」で使用される予定だ。
アルテミス計画と宇宙服の歴史
2026年9月に打ち上げが予定されているアルテミス3は、1972年12月のアポロ17号以来、50年以上ぶりとなる有人月面探査ミッションであり、初の女性宇宙飛行士と有色人種宇宙飛行士が月面に降り立つ、歴史的なミッションとなる。
NASAは、これまでも女性の視点を取り入れたデザインの宇宙服開発に取り組んできた。
1960年代、インターナショナル・ラテックス・コーポレーション(ILC)のデザイナーチームによって、初めて近代的な宇宙服が製作された。ILCは、ブラジャーやガードルの製造で知られる企業だった。アポロ11号のミッションでニール・アームストロングが着用したA7L宇宙服は、宇宙空間や月面の過酷な環境から宇宙飛行士を保護するために開発された。
A7L宇宙服は、ネオプレン、ベータクロス(高温から宇宙飛行士を保護するために設計された素材)、アルミ蒸着マイラーなどの素材を使用し、保護、可動性、与圧を確保するために複数の層で構成された複雑な設計だった。
プラダの技術と経験が宇宙服開発に活かされる プラダグループの最高マーケティング責任者兼コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ責任者であるロレンツォ・ベルテッリ氏は、今回の提携について次のように述べている。
「限界を超えることは、プラダブランドの精神と私の両親のビジョンを完璧に反映した、当社の価値観の一つです。今日お見せする成果を非常に誇りに思っています。これは、アクシオム・スペースとの長期的な協力関係の第一歩に過ぎません。私たちは、高性能素材、機能、縫製技術に関する専門知識を共有し、多くのことを学びました。今後も新たな課題に挑戦し、視野を広げ、共に新たなシナリオを構築していくと確信しています」
新たな宇宙服のデザインは、ミラノで開催された国際宇宙会議(IAC)で初めて公開され、10月18日には、IACのイベントの一環として、イタリア・ミラノにあるアーケード「ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア」で一般公開された。
アクシオム・スペースの社長であるマット・オンドラー氏は、プレスリリースで、次のように述べている。
「私たちの精鋭チームは、宇宙服の開発を再定義し、革新的なソリューションへの新たな道を切り開き、アクシオム・スペースが開発する次世代宇宙服「AxEMU(Axiom Extravehicular Mobility Unit)」のために最先端のデザインアプローチを適用しました。私たちは、これまでの型を破りました。アクシオム・スペースとプラダのパートナーシップは、異業種連携の新たな基礎モデルを確立し、民間宇宙で可能なことの限界をさらに広げました」
アクシオム・スペースの船外活動担当執行副社長であるラッセル・ラルストン氏は、次のように述べている。
「私たちは宇宙探査の新たな時代を切り開こうとしており、パートナーシップは宇宙の商業化に不可欠です。パートナーシップは強力で結束力の高いチームを構築し、業界の専門家が最先端の技術、専門的な製品、サービスを提供してイノベーションを推進することを可能にします。私たちは初めて、他の業界の専門知識を活用して、宇宙のためのより良いソリューションを開発しています」
ファッションと宇宙開発、一見すると全く異なる分野だが、その融合は、人類の宇宙進出を新たなステージへと導く可能性を秘めているのかもしれない。
文=深森慎太郎
提供元・TOCANA
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