オープンハウスが「今どき珍しく熱い企業」だと話題になっている。不動産関係の企業の多くは“体育会系”といわれるが、そのなかでも急成長を遂げているオープンハウスは、特に熱いとの声がある。業界関係者に、オープンハウスに関する業界内の評価を聞いた。
10月8日、X上にこんな投稿があった。
「オープンハウスの面接受けに行ったら『業界日本一を目指してるのに君を取るメリットは一切ない』って二次面接で言われたけど、普通に翌日三次面接の案内来た。こんな熱い企業は日本にオープンハウスだけ」
投稿を受けて、「新卒就活でも平気で圧迫面接してくるし、面接官によっては人格攻撃に近い事言ってくる人もいるらしい」「『お前みたいな生意気なやつ、うちに入れるもんなら入ってみろ。』って部長面接で言われて後日採用通知来たの思い出した」など、次々に同社の面接や営業担当者から受けた暴言を明かす投稿が相次いだ。
2012年11月からテレビCMを展開し、2013年からは織田裕二が出演するなかで「オペン・ホウセ」と連呼し、急速に認知度を高めたオープンハウス。その後も、長瀬智也・清野菜名が小学生に扮したり、松田翔太が座敷童子に扮するなど、奇抜なCMが話題になってきた。最近では、堺雅人がゴジラのような怪物と戦うシリーズが放送され、人気も高い。
また、プロ野球・東京ヤクルトスワローズのトップスポンサーを務めるほか、Bリーグ・群馬クレインサンダーズのオーナーになるなど、積極的にスポーツ分野に進出し、知名度を上げている。
単に露出を高めて知名度を上げているだけでなく、本業の不動産業でも、“格安で戸建てを購入できる”とのセールスポイントを前面に打ち出し、『東京に、家を持とう。』のキャッチフレーズで、都市部を中心に、新築戸建分譲事業、不動産仲介事業、マンション事業、不動産投資事業等を展開し、急成長している。
そんなオープンハウスは、就職・転職サイト『OpenWork』が今年3月に発表した『文系学生が選ぶ就職注目企業ランキング』で昨年に続き2位を獲得。2018年には、フォーブス社が選ぶ「アジアの優良上場企業50社」にもランクインするほどで、優良企業との評価がある。
その一方で、不動産業界によくある、“体育会系”との声もあり、仕事に対する姿勢はかなり厳しいといわれる。「いこうぜ1兆」を合言葉に、業界でも屈指の成長速度で売り上げを伸ばしてきた。そして2023年、売上高が初の1兆円を突破。その営業方法は極めて熱く、泥臭い“どぶ板営業”を行う。頻繁に仲介会社に顔を出したり、売却の可能性のある地主のもとを何度も訪れるなど、時間をかけて人間関係を構築する。そのため、長時間残業が前提の働き方、との指摘もある。都内の不動産関係者が明かす。
「オープンハウスは、営業担当者に『仲介会社との接触時間1日300分』などの目標設定をさせ、同じ不動産業者に一日に何度も接触させています。その目的は、不動産の売買情報が世の中に出回る前に把握するためだといいます。時代に逆行する営業手法で、効率は一切無視し、ひたすら時間と手間をかけて情報を収集したり、人間関係を構築するのです。そうやって、なるべく間に業者を挟まずに直接不動産を売買できるようにすることで、費用を安く抑えるのですが、その分、社員の働く時間は長くなります。長時間労働や、同じところに何度も営業をかけることを苦にしない人でないと、働き続けるのはきついでしょうね」
オープンハウスが天職を感じる人も
現代では珍しく、手間暇をかけた営業で不動産取引の相手を探し、それによって格安不動産の販売を可能にしているというわけだ。だが、それだけでは社員はすぐに逃げ出し、長く働く人はほとんどいないのではないだろうか。
「オープンハウスは、仕事はきつく、長時間労働が当たり前ですが、その分、給料に反映されるようです。そのため、体力に自信があり、休日や余暇に重きを置いていない、とにかく稼ぎたいという人には向いている職場だと思います。ある意味で家族手当や福利厚生など、かなり手厚いのですが、休暇を長く取って家族と過ごしたい、という社員に対しては優しい職場ではないようです。子どもを保育園やベビーシッターに預けてでも長く働きたい、という社員に対しての補助が充実している印象です。つまり、仕事に対して“熱い”社員を重宝する社風といえます。しかし、ただ長く働けばいいというわけではなく、成果を重視しています。そして成果を出した社員には給料で報いていると聞きます」
その一方で、昨年には就活生に対し「オツム弱い」「頭悪すぎ」「ぶん殴るよ」などと暴言を吐く“圧迫面接”があったと報じられた。同社は否定しているが、現役の社員は「そのくらいのことは入社してからも毎日言われている」として、報道は信ぴょう性が高いと語る。
「私たちは毎朝、朝礼があるのですが、そこで結束力を高めるためとして掛け声をかけたり、上長からの叱咤激励があります。そのなかでは昭和の空気が漂う暴言が飛ぶことも珍しくありません。そういった体育会系の熱い空気に耐えられない人は、長く勤めることはできないでしょうね」
お客にとっては、どのようなハウスメーカーなのだろうか。昨年、同社の新築戸建てに対し、施工不良を指摘する声が上がり、トラブルになっていると「文春オンライン」に報じられた。報道によると、その内容は「壁や床の傷」「壁やクロスの剥がれ」「ドアのネジが締まっていない」「基礎が傾いている」「玄関にシロアリが発生」といったものだ。建物の構造に関わる部分は深刻で、「キッチンの床が傾いているせいで冷蔵庫の冷凍室がうまく閉まらない」という証言も紹介されている。4棟並んだ同社の新築戸建てのうち、計3棟で施工不良が見つかったという。
だが、不動産業者の間では、オープンハウスの戸建ては、総じて評判は悪くないという。
「オープンハウスは、保証期間が短いという話は聞きますが、新築であればほかのメーカーの建売住宅と性能評価は大差ないように思います。昨年、文春オンラインで報じられた物件の不良についても、ほかのメーカーでも一定数は同じような施工不良は耳にします。その後の対応が誠実であったかどうかが問題ではないでしょうか」
熱い営業が注目されがちなオープンハウスだが、長時間残業も苦にならず、成果に報酬で応えてほしいという仕事人間の方にとっては最高の職場なのかもしれない。
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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