自宅や実家に固定電話を引く際に必要なNTTの「電話加入権」。2004年までは取得に72,000円(税別)もかかり「固定電話を導入するには、これほど高額な権利が必要なのか」と驚いた方も多いのではないでしょうか。
ここでポイントなのが、電話加入権は「権利」であり売買が可能なことです。スマホがシニア層にも普及した現在、固定電話を使わないならば電話加入権を売るのも一案です。では2024年現在、その価値はいくらくらいなのでしょうか?
NTTの「電話加入権」は新規加入でいまいくら?購入すべき?
まず「電話加入権」はNTTの固定電話の回線を引く際に必要な権利。契約を申し込み「施設設置負担金」を支払うと得ることができる権利です。
2004年までは、電話加入権の取得にかかる費用は72,000円(税別)。そして2005年に36,000円(税別)に改定され、現在に至ります。つまり電話加入権をいまから新規取得する場合、価格は税込みで4万円弱です。もちろん、固定電話が必要なければ電話加入権を新規購入する必要はありません。
電話加入権は返金を受けることが可能?
かつて7万円ほどで購入した電話加入権が、2024年現在不要になったならば「NTTに買い戻してほしい」と考える方もいるのではないでしょうか。
結論から述べると、電話加入権の「施設設置負担金」についてNTTは「返金を行うことはない」と明言しています。
その理由は施設設置負担金が、そもそも回線設置に必要な建設費用の「前払い」的な位置づけであったため。NTT東日本は「お客さまがお支払いいただいた額を加入者回線設備の建設費用から圧縮することにより、月々の基本料を割安な水準に設定することでお客さまに還元させていただいており」と説明しており、解約時に返金は行わないとしています。
加えて「弊社が電話加入権の財産的価値を保証しているものではありません」ともしています。
つまり電話加入権が不要な場合、NTTに対して返金を求めるよりは「売買が可能な権利である」ことを活かす方が良いでしょう。たとえば、かつてよく見られた事例は「電話担保金融」。電話加入権を担保に質屋などからお金を借りるというものです。
2015年時点では長らく質権設定されたままの電話加入権が、国内全体で1万~1万5000件あると推定されていました。
なお後述しますが、電話加入権の標準価格は2020年時点では1,500円。オークションでの取引価格も6,000円ほどです。つまり「質に入れる」には電話加入権はすでに安すぎる権利であることは間違いなく、いまから電話加入権を質に入れる意味は薄いです。とはいえこのように「取引できる権利である」ことは覚えておいて損はないです。
電話加入権は「財産」になるのか
ここまでに解説してきた通り、電話加入権は取引できる権利であり財産としての価値があります。つまり「相続の対象」にもなります。
電話加入権は相続財産に当たり、家庭用財産として一括評価・計上が可能です。ちなみに2020年12月31日以前は標準価格1,500円で計上するのが一般的でした。そして、家庭用財産となった2024年現在は個別評価する必要がない財産です。
電話加入権の評価方法といまの価値
なお電話加入権の評価は、国税庁の基準に基づいて行われています。先述した通り、2020年時点での標準価格は1,500円。つまり、NTTで新規取得する際の36,000円(税別)とは大きな差があります。