近年のボルボ快進撃の理由に理解が深まる一台

T6 ツインエンジン AWDのパワートレインは、同じメカニズムを持つT8よりも性能が少し抑えられているものの、最高出力にして253ps/5500rpm、最大トルクは350Nm/1700-5000rpmを発生するパワフルなプラグインハイブリッド・システム。しかも後輪を駆動する87ps/240Nmの大トルクモーターがアシストするのだから、このクルマの走行フィーリングが容易に想像がつく。

ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

高速道路に入りさっそくアクセルを奥深く踏み込んでみたが、ペダル操作と同時にモーターが強力なアシストを行い、すかさずターボとスーパーチャージャーが厚みのあるトルクを稼ぎ出していく。前輪をガソリンエンジン、後輪は電気モーターと別の動力を使っているが、制御がギクシャクすることもなくハイブリッドである事実さえ意識させない。パワフルだがとても洗練されたプレミアムセダンらしい加速フィールである。

ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

ただし、よりプレミアムな雰囲気を求めるならモーターアシストを積極的に使った走行シーンだろう。センターコンソールに設置されたドライブモードのダイヤルを「Pure」にセットすれば、極端に強い加速を求めない限り、エンジンに頼らないモーターだけの走行が維持される。しかも法律が許す場面なら時速125km/hまでのモーター走行が可能だという。スカンジナビアン・デザインによる上品なインテリアも後押しするが、車内を静寂に保つ優雅なモーター走行は、いやおうなしにドライバーを癒してしまう、T6 ツインエンジン AWDならではの心地よい時間だ。

ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

心地よさということでは、コーナーを意のままに走りやすい応答性の良さも特筆に値する性能だ。車両重量は他のS60モデルよりもハイブリット化で350kgほど重いが、かなり引き締められたサスペンションによってヘアピンコーナーのように舵角の大きい場面でもハンドリングはかなりスポーティ。重量のあるハイブリットバッテリーをシャシーの中央となるセンタートンネルに収めているので、ボディの揺れも少なくフラット感のある乗り心地も特徴だ。

ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

リアシートに腰を下ろすと気づくのが従来モデルより拡大した足元スペース。ホイールベースが約100mm延長されたことで、明らかにゆったり感を増した居住性が得られている。バッテリーにスペースを奪われず、通常のS60モデルと同等のトランク容量が確保される実用性の高さも伝えたい特徴のひとつである。
インテリアのエレガントさは説明するまでもないだろうが、空調やオーディオの操作をタッチパネル式のディスプレイに集約しダッシュパネルまわりをシンプルにしたデザインはまさに機能美。その辺のナビ画面ならここまでセンス良くデザインがまとまらないが、このタブレットのような縦長ディスプレイは上品な室内にマッチしている。地図を無駄にスクロールする必要が無いので見やすく運転に集中しやすいところも縦長ディスプレイの美点だ。

ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
ボルボ流のプレミアム性に洗脳されてしまうかも!「ボルボS60」【JAIA輸入車試乗会】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

ツインエンジンはインテリアもスタイリングも奇を衒うことのない控えめな印象だが、内に隠された基本性能はスポーツカーの領域。アクセルを踏み込む楽しさもあれば、環境性能に優れた経済的な走行も受け入れてくれる。しかも乗員を自然と癒してしまうインテリアデザインに静寂な走行フィールと、ボルボ流のプレミアム性能に洗脳されるところが少なくない。近年のボルボ快進撃の理由に理解が深まる一台だった。

【Specification】ボルボS60 T6 ツイン・エンジン AWD インスクリプション
■車両本体価格(税込)=7,790,000円
■全長×全幅×全高=4760×1850×1435mm
■ホイールベース=2870mm
■トレッド=前後1600mm
■車両重量=2010kg
■エンジン型式/種類=B420/直4DOHC16V+ターボ+SC
■内径×行径=82.0×93.2mm
■総排気量=1968cc
■最高出力=253ps(186kW)/ 5500rpm
■最大トルク=350Nm(35.7kg-m)/1700-5000rpm
■モーター最高出力=前46ps(34kW)/2500rpm、後87ps(65kW)/7000rpm
■モーター最大トルク=前160Nm(16.3kg-m)/0-2500rpm、後240Nm(24.4kg-m)/0-3000rpm
■燃料タンク容量=60L(プレミアム)
■燃費=(WLTC)13.7km/L
■トランスミッショッン形式=8速AT
■サスペンション形式=前Wウイッシュボーン/コイル、後インテグラル/コイル
■ブレーキ=前後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後235 / 45R18(8.0J)

フォト:柏田芳敬(Y.Kashiwada)

文・橋澤宏/提供元・CARSMEET WEB

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