ハリウッド映画を観ていると、ボンネットからエンジンの中身?が飛び出てしまったようなアメ車が登場してくる。

文・塚田勝弘

ボンネットの役割とは?

ボンネットに過給器や立体エンブレムなどの突起物。車検は通るの?
(画像=『CarMe』より 引用)

スーパーチャージャーを使った過給やらナイトラス・オキサイド・システム(映画によってはニトロと字幕が出ている場合もあるが、ニトログリセリンではない)と呼ばれるド派手な加速シーンは、もちろん演出だ。しかし映画の見どころの一つとして欠かせないもの。ターボもスーパーチャージャーも、空気をより多くシリンダーに送り込んで燃焼をより促す過給器。

一方で、現実のクルマは、雨や風、雪や塩、ゴミなどからエンジンなどを守り、空気抵抗、さらには安全性(歩行者の頭部保護を含む衝突安全性能)、気密性、音振動対策、排熱性の点からもボンネットの高さや形状まで気を配る必要がある。エンジンカバーでも覆う車種も非常に多い。

過給器もより軽く、より小さくすることが効率の面(重量増を抑制)からも求められている中、劇中のボンネットから何か飛び出したような絵面はインパクトがある。

近代から現代に至るまで、クルマはエンジンをどこにどうやって(どんな向きで)収めるのかが課題であったが、フロントエンジン車が大半になるなか、先述したようにボンネット(エンジンフード)の重要性が増しているのだ。

厳しくなるクルマの外部突起

ボンネットに過給器や立体エンブレムなどの突起物。車検は通るの?
(画像=『CarMe』より 引用)

前置きが長くなったが、普通に考えれば視界を遮ることからまず車検は通らないだろう。さらに、ボンネットに関わらず、クルマの外部突起物に対して年々厳しくなっている。

2001年(平成13年)6月、道路運送車両の保安基準等が改正され、「乗用車の外部突起に係わる協定規則・第26号」が導入、国際的にも外部突起に対して厳しい基準が採用されている。

ジャガーやメルセデス・ベンツなどでお馴染みの立体的なエンブレムやマスコットが姿を消しているのもその一例だ。

外部突起は厳しくなっているが、高さ2mを超える部分(ルーフキャリアなど)、フロアライン(鉛直線と母線のなす角度が30°である円錐を外部表面にできるだけ低い位置で連続的に接触させたときの接点の軌跡)より下の部分、直径100mmの球体が接触しない部分は除外されていて、主な要件として、曲率半径が2.5mm未満である突起を有してはならないとしている。

例えば、ボンネットでは、各部の半径が2.5mm未満のボンネットピンなども不適合となる。

なんだか寂しいなと思うかもしれないが、歩行者などの衝突安全性の上では欠かせない要件。ただし、ボンネットの形状を膨らませたパワーバジルやエアスケープなどでエンジン性能を誇示したり、空気をより多く取り込んだりするなどの名残もまだクルマによっては味わえるのだ。

提供元・CarMe

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