日本がここまでダメになったのは、論理的にものを考えられる人が少ない、また、社会の指導層として待遇してもらえてないことがひとつの理由だと思う。その象徴が、理工科系の政治家が少ないことだと思う。国家経営にエンジニアリングの発想は役立つし、日本でも戦国時代など鉱山経営や建築土木の才が富国強兵の鍵だった。フランスの理工科学校(ポリテクニーク)は技術将校養成のためにナポレオンが作ったし、ソ連や中国などはエンジニアが政治家の主要な供給源だったのと大違いだ。

今回の選挙の分析をしているなかで、政治家の学歴をチェックしていて、解散前の時点での衆参両院議員のそれをみると、たとえば、東京大学と京都大学の卒業生の内、理工と農学部とを加えて、学部段階での理工系を挙げてみると下記の通りだった。

医学部を入れてないのは、医学部の教育では数学などどこの学部より軽視され、数学ができる学生が医学部に入りながら、その才能はまったくの宝の持ち腐れになっているからだ。

自民党については、過去を振り返っても理科系の政治家は主要なポストを占めたことはない。

こうしてみると、公明党が意外にも理工系王国であることがわかる。新党首の石井啓一は国土交通省の土木系技官である。その前の山口那津男は東京大学法学部だが、その前の太田昭広は京都大学工学部土木学科及び大学院卒だった。

また、注目の大阪6区で維新と戦う伊佐進一は、東京大学理科一類から進路振り分けで最難関の航空宇宙学科、文部科学省に進んでいる。

共産党も志位和夫は工学部の物理工学、その前の不破哲三は東京大学理学部物理学科だ。しかし、現在の代表は早稲田大学第一文学部卒の田村智子で趣味はオペラとのことでえらく極端に文科というよりは文化を思考したものだ。

一方、立憲はどうかといえば、民主党時代に遡ると東京大学工学部計数工学科からスタンフォード大学大学院博士課程の鳩山由紀夫、東京工業大学理学部応用物理学科の菅直人と理科系が続いたが、その後は、極端に文科系でもことさら論理もへったくれもない口舌の徒が続いている。