しかし、このシステムを導入するにはスペインの下院と上院での承認が必要となっている。恐らく、承認が却下される可能性が高い。なぜなら、社会労働党の中央政府が承認したといっても同党が自治州の政権を担っている州政府にとって中央政府からの交付金の削減というのは受け入れられないからである。更に、国民党が政権を就いている自治州での反対は明白である。
更に、このシステムは憲法の規定に背くことになると判断されている。憲法ではバスク州とナバラ州以外の自治州は中央政府に徴収された税金を一旦納め、その中から中央政府は各自治州に交付金として配分することが規定されているからだ。カタルーニャ州だけ特例を認めるのはまた憲法の改正も必要となってくる。
カタルーニャの財政事情は最悪カタルーニャはスペインの自治州の中で財政事情が最も悪く、徴収する税金も16種類もある。他の自治州で最大は6種類の税金。しかも、負債は同州GDPの120%もある。独立することを宣言してからカタルーニャから州外に本社を移転した企業は9000社あまり。即ち、これらの企業は法人税は移転した自治州で納めることになっている。しかも、カタルーニャでの生産品の半分はスペイン国内で販売している。仮に、カタルーニャが独立するような事態になれば、カタルーニャ商品への不買運動も起きるであろう。
このような事情下での独立など自殺行為である。それを独立派政権は今も理解できない。独立政党への支持が続く限りカタルーニャの州民にとって不幸は続くであろう。