第50回目の節目を迎えたキングスカップの決勝が10月14日、タイ・ソンクラー県のティンスラーノン・スタジアムで開催され、石井正忠監督が率いる地元タイ代表(FIFAランキング100位)がシリア代表(同92位)に2-1で勝利して16回目の優勝を決めた。
タイはシリアの4倍に相当する20本ものシュートを放つなど内容的には圧倒していたが、最後に試合を決めたのは、やはりチームの顔であるMFチャナティップ・ソングラシン(元北海道コンサドーレ札幌 /元川崎フロンターレ)だった。
タイは前半終了間際にMFエカニット・パンヤ(浦和レッズ)のダイレクトボレーで先制。しかし、後半の立ち上がりに同点に追いつかれると、その後はタイが主導権を握って攻め続けるも、シリアの粘り強い守備もあり、試合は膠着状態に。
このままPK戦突入かと思われた後半アディショナルの90+1分、シュートブロックのこぼれ球に反応したチャナティップが豪快なミドルシュートを叩き込んで土壇場で勝ち越しに成功。これが決勝点となり、タイが2-1で難敵シリアを下した。31歳となりベテランの域に入ったチャナティップだが、初戦フィリピン戦(3-1)に続き今大会2点目で健在ぶりをアピール。
キングスカップのタイ優勝は2017年以来7年ぶりで、バンコク以外での開催では今回が初優勝だった。タイサッカー協会(FAT)のヌアンパン・ラムサム氏(通称マダム・パン)は試合後、石井監督とチーム、とりわけ決勝点を決めたキャプテンのチャナティップに賛辞を送り、チームに500万バーツ(約2250万円)の賞金を贈ると発表した。
FIFAワールドカップ・アジア2次予選で敗退したタイ代表にとって、今回のキングスカップ優勝はチームの士気を再浮上させる上でも重要な意味合いを持つ。自信を取り戻したタイ代表は、年末に開催される東南アジア最強決定戦のASEAN三菱電機カップでも優勝候補の筆頭となるだろう。