日産自動車は2024年10月10日、より手頃な価格の「Vehicle to Grid(V2G)」技術をイギリスで販売する一部のEVを対象として2026年に導入すると発表した。
V2Gは、EVのバッテリーに蓄えられた電力を電力網(グリッド)や自宅などに供給することをができる技術だ。
これにより、EVに風力や太陽光などで発電した電力を蓄え、必要な時にその電力を電力網に送ることができるため、電力網の供給電力の変動を抑制し、さらに再生可能エネルギーの割合を増やし、化石燃料依存を減らすことができる。
日産は、この技術の導入に向けてイギリスのノッティンガム大学で1年間実施した実証プロジェクトの成功を受け、自動車会社として初めて交流電源(AC)システムによるグリッド認証コード「G99」を取得し、イギリスの系統電源への電力供給を可能とした。
日産は、過去10年間にわたり世界各地で実施してきた約40件のV2Gに関する実証実験の実績があり、その知見を活かしながら「ニッサンエナジー」の傘の下に、まずはイギリス、続いてヨーロッパの他の市場にV2Gを展開する計画だ。導入にあたり、現地のインフラや規制要件に沿ってACとDCのどちらが適切かを判断することになる。
V2Gの導入は、ゼロ・エミッションで走行するEVにおける再生可能エネルギーの利用を推進すると同時に、EVから住宅や電力網への給電も含めた総合的なエネルギー・エコシステムの実現を目指す日産のビジョンの一環を成すもので、EVが普及した社会では必須の技術となっている。
日産がイギリスで認定され導入する双方向のV2GはACのシステムで、車載型充電器を採用することでより安価な導入コストを実現し、より多くの人がV2Gを利用できるようなっている。
なお、このAC双方向充電器は現在販売されている単方向充電器と同等の価格で提供することを目指している。さらにサービスを利用するユーザーは、専用のアプリケーションを利用することにより、EVに蓄えた電力を柔軟にコントロールすることも可能になる。
日産のグローバルエネルギーエコシステム、およびEVプログラムを担当するユーグ・デマルシエリエ理事は、「今回私たちがお客さまに提供する技術は、車の役割を大きく変えるゲームチェンジャーになる可能性を秘めています。EVは、単なる移動手段だけでなく、走る蓄電池として日々のコストの低減、化石燃料依存からの脱却、そして脱炭素社会の実現にも役立ちます」と語っている。
文・Auto Prove 編集部/提供・AUTO PROVE
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