いわゆる“ダークウェブ”では恐ろしいライブ配信や動画、画像が溢れていると噂されているが、その噂の発端となった人物の1人が、セルビア人のアーティストのダルコ・メイバーである。彼の手がけた“アート写真”は1995年にボスニアで起きた「スレブレニツァの虐殺」をモチーフに、本物の死体を使って撮影したという噂が巻き起こったのだが――。
■“史上最悪のビデオ”を観た人々のリアクション集
1990年代後半、セルビア人アーティストのダルコ・メイバーは本物の死体が写っているかのようなショッキングな写真を次々と発表して国際的なアート界で一時的なセンセーションを巻き起こしたのだが、その“死体”は実際にはワックス、プラスチック、ワイヤーで巧妙に作られたレプリカであると説明されていた。
しかしメイバーはセルビア政府内の民族主義勢力から狙われ、セルビア当局は1999年1月にメイバーを逮捕して投獄した。彼の写真の“死体”は本物であったというのだ。
そしてその年の4月、メイバーは刑務所の独房で謎の死を遂げた――。
物騒このうえないダルコ・メイバーの物語だが、なんと実はすべては巧妙に企画されたフィクションであった。
この一件はアーティストのエヴァとフランコ・マテスが企画した完全なフィクションであり、メイバーは実在の人物ではなかった。2人は芸術界の「すべてを吸収し、人生を商品化する」傾向に対する抗議としてメイバーのストーリーを“デザイン”したのである。
物議を醸した2人であったが、これでは終わらなかった。
2012年、エヴァとフランコはダークウェブから収集したおぞましいビデオクリップを編集、構成した“史上最悪のビデオ”である「エミリーのビデオ(Emily’s Video)」を作成し、それを鑑賞するボランティアを募ったのである。いったいどれほど恐ろしい映像なのだろうか。
ビデオの内容について秘密を守ることを誓った選ばれたボランティアたちは、恐る恐る「エミリーのビデオ」を鑑賞し、その反応が撮影されたのである。そして彼らのリアクションをフィーチャーした動画が次々とYouTubeに投稿された。
4分間の「エミリーのビデオ」の内容は明らかにされていないのだが、唯一の手がかりは、視聴者の恐怖の反応である。顔をしかめたり、目をそらしたり、手で目を覆ったりする人もいる。1人は見たものにクスクス笑っているようにも見える。
アーティストたちは、視聴者が何を見ているのかを示す手がかりを一切排除している。1人は「それはやっちゃダメ」と言っているのが聞こえ、もう1人は「(何かを)切る音が聞こえる」と言いながらカメラから立ち去っている。
この映像クリップを直視した人々は、約束を守ってそのビデオ」の内容についてこれまで公に語ったことはないようだ。
ボランティアの撮影を終えてから、エヴァらはこの「エミリーのビデオ」を破棄したということだが、鑑賞した人々の反応は確かに興味深い。企画意図に見る者の裏をかく“愉快犯”のテイストが感じられないこともないが、エヴァとフランコの今後の“アーティスト活動”も大いに気になるところだ。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?