前述した誹謗中傷の内容に関しては、決して許されない文言であり、投稿者はそれなりの罰を受けて然るべきだろう。仮に逮捕者が出て、容疑者の実名や、どこのサポーターだったかが明かされることになれば、これ以上ない抑止力となるだろう。
しかし、町田のフロントは最も大事なことを秘しているというのが、このニュースに触れた第一印象だ。それは、「実害、実損」の具体的な内容だ。
観客動員が減ったという事実がない以上、仮にスポンサーが離れたのだとすれば、それを正直に話した方が誠意ある対応だったのではないだろうか。「イジメの構図」と断言するのであれば、被害を金額換算で示さなければ、その言葉は説得力に欠くだろう。
さらに通報窓口に寄せられた約1000件もの情報の中で、どれくらいの割合で“誹謗中傷”にあたる投稿があったのかも気になるところだ。
Jリーグ史上初といえる、他サポーターへの刑事告訴という事態にまで発展した事件だ。再発防止のためにも、もっと情報をオープンにした方がベターではなかったか。
さらに踏み込めば、この事態を招いた端緒となったのは、藤田氏が言うところの「新参者だから」ではない。黒田監督の一連の発言と町田イレブンの試合中の態度であることは否定しようのない事実だ。もし藤田氏がこの事実まで否定するならば、他クラブのサポーターから、さらなる批判を受けるだろう。「被害者」であることと、「被害者ヅラ」することでは、全く意味合いが異なるからだ。この問題に対し、トップである藤田氏が、クラブ内部が抱える問題を直視したのかどうか疑問が残る。
来るところまで来てしまった感のある今回の騒動。実際に刑事告訴したことで、逆に法律で守られる立場となった町田の黒田監督や選手が「これでやりたい放題だ!」と、少しでも思ったのであれば、大きな間違いだ。逆に、その一挙手一投足を厳しく観察される立場となるのは必定だ。