2008年12月、中国のベトナム国境近くに位置する広西チワン族自治区防城港(ぼうじょうこう)市の上思県にある、明代(1368~1644)に作られたとされる墓から奇妙なものが発掘された。それは、棺室に収められていた粘土製の棺桶の中にあったもので、鋼で出来た一見指輪のように見える遺物であった。

 ところが、そんな小ささに関わらず遺物はまるで腕時計を思わせる構造をしており、文字盤らしき部分には10時6分を示している時計の針のようなものも見られた。しかも、その裏には「Swiss」すなわち「スイス」を表す文字(「瑞士」との説もあり)が残されており、スイス製の腕時計ではないかということで一躍話題となった。

 問題の遺跡は、同年の10月に「三合土」(石灰石・砂・米などを練り合わせたもの)製の棺が出土したことで注目を集めていたばかりであった。腕時計は、三合土の底の土を取り除く作業をしていた際に泥まみれの状態で発見されたという。

 この腕時計の不可解な点は、何よりもまずスイス製と記されていた点にある。実際にスイス製の時計が中国に伝わったのはほんの数十年前のことであり、そもそも腕時計が世界で初めて作られたのは1904年(1918年の説もある)と言われている。それよりはるかに遡る400年前の遺跡の中から、腕時計が発見されるということは通常あり得ないことなのだ。

 さらには、なんらかの副葬品であると考えたとしても、現地では模造品としてもそのようなものを作る習慣がないということから、発見されたこと自体が謎めいているという別の問題も浮上している。

 中国では、かつて西晋時代の遺跡からアルミニウム製のベルトバックルが欠片を合わせて複数発掘されたとして話題になったこともある。自然界にあり触れた元素であるアルミニウムであるが、純度の高いアルミニウムは特殊な加工を施さなければ入手することができず、その技術が開発されるよりはるか昔にほぼアルミニウム製の物体を創ることは不可能であると考えられた。

 しかし、このベルトバックルは再検証の結果、銀製であること、またアルミニウム合金として鑑定されたものについては20世紀に入って作られたものであることが判明した。このことから、「タイムトラベラーが残していった」あるいは「先進的な技術が既にその時代に存在していた」ということではなく、発掘以前に盗掘で潜入した何者かが残していったものではないかとの説が現在では有力となっている。

 それでは、このスイス製の腕時計についても同様のことが推測できるのかというと、現時点ではその推測すらもままならない状態であるようだ。その最大の理由は、これ以上の情報が発信されていないことにあるが、それは解明が手詰まりとなっているためであるのか、それとも何かを隠蔽しようとしているためか、現時点では憶測しか生み出せない状況となってしまっている。

【アトラスラジオ関連動画】

【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

提供元・TOCANA

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?