人工知能(AI)をはじめとする先端技術の進歩が人間の理解を超えて一人歩きしてしまう技術的特異点、いわゆる“シンギュラリティ”がすぐそこに迫っている――。未来学者によればシンギュラリティは2045年までに訪れ、人間はAIと融合して100万倍の知能を獲得するという。
■2045年までに人類は100万倍の知能を獲得する
アメリカのコンピューター科学者で未来学者のレイ・カーツワイル氏は先月出版された新著『The Singularity is Nearer(シンギュラリティはもっと近づいている)』の中で、非侵襲的に毛細血管に挿入されたナノボットで形成された脳インターフェースの助けを借りて、2045年までに人類は100万倍の知能を獲得するだろうと解説している。
「私たちは、自然知能とサイバネティック知能の組み合わせになるでしょう。そして、そのすべてがひとつにまとめられるでしょう。2045年までに知能は100万倍に拡大し、私たちの認識と意識は深まるでしょう」とカーツワイル氏は英紙「The Guardian」のインタビューで語っている。
AIと人間の融合によって訪れる「すばらしい新世界」を手放しで喜んでよいものなのか。これからの人間の仕事はどうなるのか? 我々は永遠に生きることができるのか? 人間であることの意味そのものが変わるのか?
カーツワイル氏は、他の多くの未来学者と同様、この点では比較的楽観的である。カーツワイル氏は、全ての個人を対象にキャッシュを無条件に支給する制度である「ユニバーサルベーシックインカム」は、現在進歩的なサークルで支持されている少数派のアイデアではなく、必要不可欠なものだと力説する。またAIは医学に前例のない進歩をもたらすため、“不死”というアイデア自体が実現不可能ではないとも指摘する。
「2030年代初頭には、加齢によって失った寿命の1年ごとに科学の進歩によって寿命が回復する“寿命脱出速度”に達すると予想されます。そしてそれを超えると、実際に寿命がさらに回復します。事故は依然として起きるため、永遠に生きるという確固たる保証はありませんが、死亡率が年々増加することはなくなります」(カーツワイル氏)
寿命脱出速度とは加齢に伴う寿命から自由の身になれる脱出速度のことであり、長寿研究者のオーブリー・デ・グレイ氏など一部の研究者は2030年代には我々人類は寿命脱出速度に達すると主張しているのだ。そしてカーツワイル氏もまたこの主張に与していることになる。
1999年、カーツワイル氏は、人類が1秒間に1兆回の計算が可能な技術を実現すれば、汎用人工知能が実現すると理論づけ、その実現は2029年と予測した。当時の専門家たちは、それには少なくとも1世紀以上はかかるだろうと考えて彼の考えをあざ笑っていたのだが、2029年まであと数年の現在、人工汎用知能(Artificial General Intelligence、AGI)の登場が現実味を帯びはじめている。
はたしてカーツワイル氏が指摘するように2029年までにAGIが誕生し、2045年までにシンギュラリティが起きることになるのだろうか。そして人間はAIと融合し100万倍の知能を獲得する日がやって来るのか。いずれにせよ近い将来に我々が暮らすこの世界に大きな変化が訪れることは間違いないのだろう。
参考:「Popular Mechanics」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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