日本と東南アジア諸国などによる脱炭素化に向けた連携の枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」の首脳会合が11日、ラオスの首都ビエンチャンで開かれ、今後10年間の行動計画を含む共同声明に合意した。政府開発援助(ODA)を活用し、日本主導で再生可能エネルギー発電や送配電網の整備を支援する方針を打ち出し、アジアの脱炭素化を加速させる。
AZEC首脳会合は、昨年12月に東京で開催して以来2回目で、石破茂首相が議長を務めた。
首相は会合後に開かれた内外記者会見で「個々のプロジェクトの実施に加え、ルールの形成を含む政策協調へとAZECを新たな段階に進めるため、今後10年の行動計画に合意した」と述べた。
共同声明では、気候変動への対応と経済成長の促進、エネルギー安全保障の確保を同時に実現する原則を再確認。脱炭素への多様な道筋を認めつつ、燃焼時の二酸化炭素(CO2)発生量が少ない液化天然ガス(LNG)の重要性や、原子力の安全かつ平和的な利用に関する協力にも言及した。
今後10年間の行動計画には、日本主導の取り組みに加え、温室効果ガス排出量の可視化に向けた算定や報告の推進、排出量の削減を評価する指標の開発を明記。資金面での官民の連携を強調し、農林、運輸などの分野で脱炭素化を加速させることも盛り込んだ。
AZECは2022年に岸田文雄前首相が提唱した枠組みで、日豪のほか、ミャンマーを除く東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟9カ国が参加している。
◇AZEC首脳会合の共同声明・行動計画骨子
【共同声明】
一、気候変動対応と経済成長、エネルギー安全保障の同時実現
一、脱炭素に向け、各国の事情に応じた多様な道筋があることを認識
一、今後10年間に取り組む具体策をまとめた行動計画を策定
【行動計画】
一、温室効果ガスの排出量を可視化するため、算定や報告を推進
一、脱炭素への移行に向けた資金供給の推進
一、農林や運輸部門の脱炭素化の加速
一、政府開発援助(ODA)を通じた再生可能エネルギー発電の支援(時事)
提供元・Business Journal
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