イタリア・シチリア島ジェーラの沖合で紀元前5世紀の難破船「ジェーラ2号」の回収作業が進行中だ。船には伝説の都市「アトランティス」に由来する合金、オリハルコンが積まれているのだという――。

■古代ギリシアの沈没船「ジェーラ2号」の回収作業が進行中

 イタリア・シチリア島ジェーラの沖合に沈んでいた2500年前の古代ギリシアの沈没船「ジェーラ1号」に続いて、1980年には「ジェーラ2号」が発見されている。

 水深約300メートルの海底にジェーラ2号は驚くほど良好な保存状態で今も海底に横たわっている。水中考古学者が最初にこの船を調査したのは1990年代だが、重要な発見があったのは2015年と2017年のことである。この2回の調査で、海底から86個のオリハルコンの塊が回収されたのだという。

 ギリシャ語で「山の銅」を意味するオリハルコンは、古代ギリシアの哲学者プラトンの『クリティアス』をはじめとする古典文献で、金に次ぐ非常に価値の高い金属であると説明されている。

 神話上の都市アトランティスでは、オリハルコンがポセイドンとクレイオーの神殿の壁を覆い、眩い輝きを放っていたといわれている。この金属の成分については多くの議論があるが、ジェーラ2号から回収されたオリハルコンとされる金属の分析では、75~80%が銅で14~20%が亜鉛の合金で、ニッケル、鉛、鉄の成分も含まれていることが明らかになっている。

「オリハルコン」発見か!?伝説の都市アトランティスの由来の神話的金属の正体とは
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)

 専門家によるとジェーラ2号から回収された合金は古代ギリシアまたは小アジアから来た可能性が高いということだ。

 ジェーラ2号は全長約15メートル、幅約5メートルの商船で、地中海を渡って商品を輸送していたと考えられている。考古学者はオリハルコンの棒のほか、ヘルメット、陶器の器(アンフォラ)、乗組員の私物を発見しているという。

 今年7月からはじまっている回収作業は来春には完了する予定だ。

 このプロジェクトでは、海底に沈んだ船の木材の残骸を解体して修復する計画だ。これらの木材はカルタニセッタの文化財管理局に引き渡され、その後ジェーラ考古学公園に展示される予定である。

 同じ海域で先に発見されたジェーラ1号はすでに回収されており、その遺物の数々は現在、ボスコ・リトリオの博物館に収蔵されている。

 来春まで続く回収作業の日々の中で、これまでにない発見がもたらされることがあるのか期待してみてもよいのだろう。

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

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