早いもので今年も10月を迎えたが、さかのぼること442年前の1582年10月はなぜか21日しかなかった。まるでタイムスリップが起きたかのような“失われた10日間”の謎とは――。
■1582年10月の“失われた10日間”の謎
ご存知のように今年は4年に1度の閏(うるう)年で、2月は29日あったのだが、実は閏年は必ず4年ごとに訪れるわけではない。
地球が太陽の周りを回るのにかかる時間、つまり太陽年は365.2422日であることから、閏年でも修正しきれないわずかな誤差が生じる。
古代ローマにおいて紀元前45年1月1日から実施されたユリウス暦は4年に1度の閏年を設けた画期的な暦であったが、それでもこのわずかな誤差は塵であっても積もれば山となる。
ユリウス暦は、制定当時の天文観測水準を考えればかなりの精度だったのだが、さすがに1000年以上も経つと、その誤差によるズレは無視できなくなったのだ。
千数百年も暦の運用が続くと、天文現象の発生日時と暦の上の日付の乖離は無視できないものとなり、16世紀末には10日間に相当する時間が累積していたのである。
、16世紀末になるとローマ・カトリック教会としてもこの累積した誤差が無視できなくなり、時の教皇グレゴリウス13世(1502-1585)が主導して対策を検討し、1582年の最も適当な月に10日間を省くことが決定されたのだ。対案では40年間閏年を設けずに徐々に修正する案も浮上したが最終的には却下された。
10日間を省く月として、重要な宗教的祝日と重ならないように10月が選ばれ、10月4日の次が10月15日と定められ、その日からグレゴリオ暦がスタートしたのである。
もちろん暦の名称を変えただけでは根本的な解決にはならない。4年に1度の閏年を続けて行けば、ユリウス暦のように128年で丸1日が増えてしまうのだ。
そこでグレゴリオ暦では以下の2つのルールを設定した。
●西暦が4で割り切れる年を閏年とする。
●西暦が100で割り切れて400で割り切れない年は閏年としない。
グレゴリオ暦でも基本は4年に1度の閏年を設けるのだが、100で割り切れて400で割り切れない年の閏年はキャンセルされるのである。このルールに基づくと、76年後の西暦2100年は閏年の年ではあるものの2月は28日で終わることになる。つまり400年の間に3回、閏年が無効にされるのだ。
現在生きている我々の大半は関係しない未来の話ではあるが、ひょっとするとコンピューターのシステムなどで“2100年問題”が浮上してくるのかもしれない。
グレゴリオ暦はこの1582年にヨーロッパの多く国で採用され、その後数十年、さらには数世紀にわたって世界中で採用され続け今日に到っている。
日本においても1873年にグレゴリオ暦が採用されることになった。しかしご存知のように日本において元号は併存している。
世界中のほとんどの国がグレゴリオ暦を採用する一方、なかなか自国の暦を変えない国もあり、サウジアラビアがグレゴリオ暦を採用したのはなんと8年前の2016年である。
世界中でグレゴリオ暦を国内でまったく使用していないのは現在、エチオピア、ネパール、イラン、アフガニスタンの4カ国だけである。社会システムがグローバル化する中にあってグレゴリオ暦がすでに世界標準であることに疑いの余地はなく、この4カ国もいずれは事実上採用せざるを得なくなるのだろう。日本の公式書類で元号が使われなくなる日もそう遠くはないと思うがいかがだろうか。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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