それでもなお、そのやせこけた人かげは、炎を背に、狂気のような浮彫りとなって、大鎌をふりかざしながら、彼らのほうに走りよってくるのだった。

「ジョーンズ!」保安官が叫んだ。「とまれ! とまらなきゃあ撃つぞ。ジョーンズ! ジョーンズ!」

それでもなお、そのやせこけた、たけり狂った人かげは、あかあかと燃えさかる炎の怒号を背にして近よってくるのだった。大鎌をふりかざしたまま、叫びもあげず、音もたてず、彼らの上に、荒々しくかがやく馬の眼やゆれる銃身のきらめきの上に、襲いかかってくるのだった。

215頁(小説の終幕)

2021年1月の議事堂襲撃事件が示すように、トランプの言うことならどんな無茶でも信じるカルトは、もちろん怖い。でも本当の恐ろしさは、そこからさらに先にあるのかもしれない。

今回の当落を問わず、なにかのタイミングで支持者がトランプに「裏切られた!」と感じた場合、その憤懣はどんな形で噴出するのか。暴動かもしれないし、あるいは「ヤツは偽者だった、俺こそが救世主!」みたいな、もっとやばい政治家が出てくるのかもしれない。なんといっても、アメリカは多士済々ですから。

アメリカの「新政権」はウクライナを見棄てるか|Yonaha Jun
ドナルド・トランプが共和党の副大統領候補に、J.D.ヴァンス上院議員を指名した件について、7月16日のアゴラに詳しい記事が出ている。 ヴァンス上院議員が共和党副大統領候補に:日本製鉄とウクライナは戦々恐々? ドナルド・トランプ大統領がSNS上でオハイオ選出のJD・ヴァンス上院議員が副大統領候補に内定したこと...

さて実は、フォークナーについてはこのnoteでも前に、著名人が絡むネットリンチを読み解く上で、別の短編を参照したことがあります(お察しのとおり当時、文春のコラムのためにネタを探していたんです)。

いま振り返ると、リンチの中心にいる「著名学者」もまた、支持者にとっての小サトペンであり、小トランプなことがわかりますね。その人の言うことなら嘘でも信じ、すべての解釈をその人の都合に合うよう捻じ曲げるフォロワーのみなさんが、多数のワッシ、すなわちTrashです(笑)。

なぜ、学問を修めた「意識の高い人」がネットリンチに加わってしまうのか|Yonaha Jun
8月27日付で、筑波大学は所属する東野篤子教授のTwitter利用に関し、「コンプライアンス違反に該当するような事項は確認することができませんでした」(原文ママ)との回答を、ネットリンチによる被害を訴えていた羽藤由美氏に送付した。 知と理は死んだ 筑波大学の汚点 筑波大学のコンプライアンスは死んでいると言わ...