防衛の「機動分散運用」では、それぞれの基地で整備体制や補給体制が構築されている必要があるが、これはこの電力版の「機動分散運用」でも同じことだ。
幸いにして石炭は備蓄が可能である。それぞれの火力発電所に十分に石炭を備蓄しておけば、有事への備えになる。
いま日本政府は「脱炭素」のためとして、石炭火力発電所を大幅に減らす政策を実施している。だが防衛の観点から見ればこれは愚かなことだ。なぜなら、中国が破壊する以前に、日本政府が石炭火力発電所を破壊していることになるからだ。
石炭のもつ防衛上の価値をきちんと評価し、備蓄を積み増し、また、いまある火力発電設備を維持するための仕組みを整備すべきだ。
最後に余談だが、いま、新たなエネルギーインフラへの攻撃が勃発しかねない状況にある。イランとイスラエルの緊張が高まっており、イスラエルはイランの原子力ないし石油生産設備を攻撃するかもしれないと言われているが、そうなればイランはイスラエルのエネルギーインフラを攻撃すると言われている。
イスラエルは火力発電に頼っており、上位6つの火力発電所で国全体の7割から8割の電力を供給している。図はChatGPTに作図させたものであまり正確ではないがイメージはつかめるだろう。
これが破壊されると、イスラエルの経済活動は大幅な支障を来すことになる。10月3日の攻撃でイランはすでにイスラエルの空軍基地にミサイルを着弾させており、同様にしてエネルギーインフラを攻撃すれば大規模な損害を与えうる能力を示している。
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