日本経済新聞の報道によれば、関東地区の一都三県の中古マンション価格の動きを見ると東京23区が引き続き上昇しているのに対し、それ以外の地域では高値からの下落となっています(図表を元記事で見る)。
2024年8月末時点の専有面積70平方メートル換算の物件価格は、埼玉県が前年同月比3.2%安、千葉県が3.4%安、神奈川県も0.4%安となっているのに対し、東京23区は前年同月比10.2%、さらに都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)は22.3%高と対照的です。
東京23区は70平米で1億2756万円ですから、会社員で真面目に仕事をしていても手が届かないレベルになっています。
このような値動きの原因として、購入層の違いが挙げられています。東京以外は日本人のマイホームの実需なので、住宅ローンの借入可能額による制約があります。また、日銀の利上げによって短期借入金利が上昇し、更なる金利上昇懸念もあって買い控えが起こっているのです。
東京の都心6区の買い手は海外からの投資家の比率が高く、現金購入が多いので住宅ローンの借入限度の影響はなく、金利の動きもあまり関係ありません。海外の主要都市と比較して相対的な割安感から購入しているものと考えられます。
東京以外の3県でも神奈川の横浜、埼玉の大宮のような主要駅の駅近の利便性の高い物件の価格は東京と同じように堅調な動きになっています。郊外ではエリアの選別がより厳しくなっているということです。
個人的に関心を持っているのは、都心6区にあるファミリー向けではなく、単身者向けのワンルームマンションの価格がどうなるかです。
ファミリータイプの価格上昇に連動して上昇圧力がかかりそうですが、一方で提携ローンで購入する投資家がほとんどですから住宅ローンと同様に借入からの制約があります。
また、ワンルームマンションには新築が減って売却する投資家も減っているという特殊要因もあります。これは価格上昇にポジティブな影響です。