突然ですが、「GT-R」といえばどんなクルマをイメージしますか?
きっと「日産スカイラインGT-R」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。普通はそうですよね。
なかには「GT-RといえばやっぱりWRC(世界ラリー選手権)を戦った『マツダ・ファミリアGT-R』!」というマニアックな人もいるでしょうし、もしかすると「メルセデス・ベンツCLK GTR」とか「なんといっても『マクラーレンGTR』でしょ!」というスーパーカーな人もいるかもしれませんね。
まあ最後のスーパーカー2台は「GT-R」ではなく「GTR」ですが、たいした問題ではありません。
いずれにしろ、たぶん間違いないのは「GT-Rを代表するモデルは?」と問われて、「トヨタ・カリーナGT-R」と答える人は多くはないだろうってこと。
むしろ「カリーナにGT-Rなんてあったんだっけ?」という反応がほとんどでしょう。でも、実はあったんですよ。
目次
当時のトヨタには大量の「GT」が存在
カリーナGT-Rは「ハチロクのセダン版」?
当時のトヨタには大量の「GT」が存在
今回YouTubeチャンネル「車選びドットコム」で紹介しているAA63型「カリーナGT-R」は、3代目カリーナのスポーツグレードとして1983年に発売されました。
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どうして「GT-R」なのか。
実は当時、トヨタにはグレード名として「GT」を名乗るモデルがいくつも存在。ソアラにもあったし、ハチロクにも「GT」「GTV」「GT-APEX」がありました。ここだけの話ですが、当時のトヨタは、「GT」を安売りしていたんです(笑)
そのうえで例えば今回のカリーナのほか「セリカ」などのように、「GT-R」というグレードも複数存在。最上級グレードとはいえ、手の届きやすい「GT-R」ですね。
カリーナGT-Rは「ハチロクのセダン版」?
では、AA63型カリーナGT-Rの特徴はどこか?
なんといってもエンジンです。搭載されていたのはあの4A-G。名車「ハチロク(AE86型カローラレビン/トレノ)」と同じスポーツユニットが乗っているんですよ。
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そして駆動方式。なんと後輪駆動なのです。
もちろんマニュアルシフトも選べますよ。
そんな三拍子がそろったGT-Rを、運転好きが放っておくはずがありません。当時の走り屋(の一部)の間では「ハチロクのセダンのようなもの」として、根強い人気を誇っていました。3ドア/2ドアのハチロクと違って4ドアセダンだから、家族持ちの走り屋パパでも遠慮なく買えたのです。
エンジンをはじめ、ハチロク用のチューニングパーツが流用できるのもまたよかったんですよね。
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実はこの世代のカリーナセダンには160psのターボエンジンを積んだモデルもあり、そちらのほうが130psのGT-Rより速かったことはここだけの内緒。
ですが、当時のターボエンジンは今とは違い低回転のトルクが薄いタイプで、自然吸気エンジンの4A-Gほうがフィーリングがよかったわけで。
またGT-Rのほうが価格が安いこともあり選ぶ人も多かったのです。
ちなみにこの世代のカリーナは、4ドアセダンのほか3ドアクーペ、5ドアステーションワゴン、そしてバンまであってシリーズ全体で30万台も売れたのだとか。
なかなかの人気車だったのです。