北海道と本州は複数の航路で結ばれています。少しづつ港が近づいてくるワクワク感は、船旅ならではの醍醐味。日本海フェリーは、北海道屈指の観光都市である小樽と、舞鶴・新潟を結ぶ「現代の北前船(江戸時代から明治時代にかけて日本海海運で活躍した北国廻船)」です。地元のライダーが、小樽フェリーターミナルとその周辺を紹介します。

小樽港から現代の北前船が就航

小樽は明治時代から北海道の物流の拠点として栄えました。石狩炭田から採掘された石炭を本州に運ぶための積出し港としての役割や、優良な漁場を有するニシン漁の最大拠点であるなど、北海道で1、2を争う繁栄ぶりだったそうです。

あらゆる銀行の支社が立ち並ぶなど、繁栄を極めた小樽でしたが、昭和中期に石炭輸送やニシン漁が衰退。小樽港は関西方面へのバイパスルートとして注目されました。1970年に小樽~敦賀・舞鶴を開設。1974年には舞鶴航路の新潟港への寄港を夏季限定で開始し、1977年に定期航路に昇格しました。現在は舞鶴航路(毎日)、新潟航路(週6便)が運行されています。

小樽に来たら必ず食べてほしい!「さかたのイカメンチ」

フェリーターミナルへ行く前に立ち寄ってほしいのが、昭和の香りを今に伝える「小樽中央市場」です。戦後のバラック小屋からスタートし、昭和28年5月に第1棟が落成しました。翌年には第2棟も完成。第3棟は少し遅れて昭和31年に完成しました。当時の最新技術が投入された建物は、70年近く経った今でも頑丈そのもの。新旧様々なお店が軒を連ねています。

第3棟にある「そうざいのさかた」の「イカメンチ」は大人気。惣菜一筋50年以上、80歳を過ぎても現役を貫く店主の味を求めて、多くのお客さんが訪れています。メチャクチャおいしくて観光客の腕を引っ張って連れていきたいほど。いや、ウソでないって!

イカメンチは、約30年前に「史上にあるイカのゲソを使って何か作れないか」と思い立ち、具材や揚げ方を工夫して完成したそうです。乗船後に酒のつまみにしても良いですが、できれば揚げたて、サクサクをいただきたいもの。まずは市場内の休憩スペースで味わってください。

出航1時間前には手続きを!

小樽フェリーターミナルは1994年に竣工しました。地下1階地上5階建ての本館「センター棟」と4階建ての「サテライト棟」で構成され、やたらに長い上下船用ギャングウェイとともに空中歩廊で連絡する形を採用しています。

乗船受付は1階で行っています。バイクや車で乗船する方は、出航1時間前までに手続きを済ませなくてはなりません。小樽フェリーターミナルは新日本海フェリーしか発着していないので、戸惑うことはないでしょう。

受付後は乗船案内があるまで館内で過ごします。1階のラウンジで日本海を眺めながら、これから始まる船旅に思いを馳せるのもいいですね。

2階には待合室や、レストラン、売店などがあります。吹き抜けの開放感がたまりません。

レストラン・シーガルでは海を見ながら食事を楽しめます。小樽名物の「あんかけ焼きそば」や「あんかけラーメン」、唐揚げとの違いがわからない「ザンギ」など、種類は豊富。フェリーを利用しなくても入店可能です。