総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が3万円台で販売している、設置工事不要で持ち運び可能な「冷暖房機能付き どこでも置くだけエアコン」(店舗上限価格3万9800円/税込み4万3780円)が大ヒットとなり話題を呼んでいる。どのような商品なのか、そして実際のところ“使える商品”なのかを追ってみたい。
一般的なエアコン(冷暖房機)には室外機があり、設置には工事が必要なため、ハイシーズンには工事が集中するため工事待ちとなり、購入してもすぐに利用できないケースは多い。また、スペックが低い6~9畳向けモデルでも工事費込みで10万円ほどかかるのが一般的であり、手軽に購入できる金額ではない。
ドン・キホーテのPB(プライベートブランド)商品「どこでも置くだけエアコン」の特徴は、なんといっても室外機がないので設置工事が不要な点だ。一般的なエアコンは壁の天井付近に本体を設置して排気ホースを壁の穴から外に出し室外機につなげるが、ドン・キホーテのエアコンは付属されている窓枠パネルを窓に取り付け、そこに本体とつながる排気ホースを付けることで室外機の代わりになる。窓枠パネルの対応サイズは89~230cm範囲なので、床から天井近くまである大きなベランダ窓にも設置可能。稼働時に発生する水滴は排気ホース経由で屋外に排出される方式なのも、ありがたい。
本体に接続されているのは、この排気ホースと電源コードのみだが、排気ホースを窓に接続する必要があり、その長さは25~165cmなので、部屋内のどこにでも置けるというわけではなく、ある程度は窓の近くに置く必要がある。
最大10畳の広さの部屋まで対応となっているが、気になるのが「果たして本当に部屋が冷えるのか」という点だろう。ネット上の評判を見てみると、稼働させるとすぐに冷たい空気が出てくるものの、一般的なエアコンに比べると部屋全体の温度が下がるまでには時間がかかり、数十分程度の時間を要するようだ。公式サイトに記載の電気代は1時間あたり約32.6円(1050W連続運転時)となっており、外気と設定温度の差などにより上下するが、「一般的なエアコンと大きくは変わらない」(家電量販店社員)という。
サイズは幅32.5、奥行き29、高さ70cmで重量は約21kg。持ち上げて運ぶには重いが、キャスター付きなので押して移動させられる。ただ、戸建て住宅で頻繁に別の階に移動させて使うようなことは難しいかもしれない。
このほか、一般的なエアコンに搭載されているオフタイマー機能(1時間単位)もついており、リモコン操作も可能な一方、風向きは手動で本体のファンを調整しなければならない。
大きな難点は運転音
大きな難点としては、稼働時に発生する音が大きいことがあげられる。仕様上の数値は「運転音:約65dB(冷風モード風量『強』)」と70dB(騒々しい街頭)目前となっており、一般的なエアコンよりもかなり大きい。そのためSNS上では
<うるさいんだよなぁ>
<常用できるノイズじゃない>
といった声があがっている。
家電量販店社員はいう。
「正直な感想としては“ちょっと微妙”という感じです。量販店だとセールで一般的なエアコンが6万円くらいで買えることもあるので、そっちを買っちゃったほうが長期的に考えればコスパ的にも快適さ的にも良い気がします。移動させて使えるといっても、いちいち窓枠パネルを設置しなければならないのは結構な手間ですし、“置くだけで使える”という言葉を鵜呑みにしないほうがよいでしょう。また、窓枠パネルを設置すると窓に鍵がかかっていないのと同じ状態になるので、夜寝るときに使うのは防犯上避けたほうが良く、外出する際にはパネルを外さなければならないのも通常のエアコンとの比較の上ではデメリットです。
とはいえ、暖房も使えてこの価格というのは、買っても良い価格だとも思います。自宅に複数の部屋があって、すべての部屋にエアコンを設置するほどではないという場合に、一つ持っておくというのはありかもしれません。ですが、このレベルのサイズの物は意外に場所を食うし、さらに重いので、十分な吟味が必要でしょう。」
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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