【家電コンサルのお得な話・211】森林環境税は、2024年度から開始された新たな国税で、全国の市町村で住民1人あたり年間1000円が徴収されている(公的年金受給者への適用は10月から)。この税は市町村を通じて国に納められ、森林環境譲与税として都道府県や市町村に分配される。その目的は、森林の保全や整備を促進するための財源を安定的に確保することである。
林業の担い手不足や間伐、整備の遅れなどに対応
森林は私たちの生活に多くの恩恵をもたらしており、国土の保全、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保全など、多岐にわたる重要な役割を果たしている。
しかし近年、林業の担い手不足や森林管理が不十分な地域が増えており、その結果、間伐や整備が遅れてしまう状況が見られる。このような問題に対応するため、森林環境税が導入されることになった。
森林環境譲与税の使い道としては、各市町村が行う森林整備の費用や、都道府県が市町村を支援するための費用に充てられることが定められている。これにより、地域ごとに適切な整備や管理が進められることが期待されている。
地元の木材を活用して、林業の活性化や地元産業を振興する事例も
具体的な例として、小田原市では「学校木の空間づくり事業」を進めている。これは地域産の木材を使用し、学校施設の内装を木質化することで、教育・学習環境の向上と地域との連携強化を目指した取り組みである。
このような事業は、単に森林整備を促進するだけでなく、地域経済にも貢献している。地元の木材を活用することで、林業の活性化や地元産業の振興が図られ、地域の活力向上にも寄与する。
また、木材を用いた空間づくりは、学習環境の質を高めるだけでなく、子どもたちに木材の温かさや自然の重要性を感じさせる教育的効果も期待されている。このように、各自治体がそれぞれの特性に応じた施策を展開することで、全国的に森林の保全と活用が進むだろう。
しかし、国民の生活が非常に厳しい現状の中で、増税が続くことに対しては懸念の声も少なくない。見せかけのデフレ脱却が進む中、負担が重くのしかかる現実を見過ごすことはできない。
国は一度予算化した事業を、その後も継承しがちだが、本当に必要な事業の財源を確保するためには、予算編成の在り方そのものを見直す必要がある。増税という選択肢だけでなく、限られた財源を有効に活用するための努力も求められていることを忘れてはならない。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
提供元・BCN+R
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