石破茂首相が日銀の金利引き上げをけん制したことを受け、3日の東京市場では、7月に続く早期の再利上げ観測が後退し円安・株高が進行した。石破氏は従来、安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の大規模金融緩和策に否定的で、日銀の正常化路線にも理解を示していた。それだけに、態度急変の真意を探ろうとする市場関係者も少なくない。

 石破氏は2日、首相官邸で植田和男日銀総裁と会談後、記者団に対し「現在、追加利上げをするような環境にあるとは考えていない」と強調した。

 これに対し植田総裁は「経済・物価が見通し通りに動いていけば、金融緩和の度合いを調整していく」と首相に伝えたという。ただ、利上げの判断に関しては「見極めるための時間は十分にある」と語り、急がない考えに言及した。

 日銀は当面、不透明感が強い米国経済や金融市場の動向を見極める構えだ。3日に長崎市で講演した野口旭審議委員も「緩和的な金融環境を忍耐強く維持し続けることが重要だ」との見解を示した。

 石破氏のけん制発言について、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「自民党総裁選に勝利した直後、利上げ観測から株価が急落したことへの対応かもしれない。政権の基本姿勢は衆院選後にならないと明確には読めない可能性がある」と指摘。衆院選を目前に控え、石破氏が株安を招きかねない正常化容認発言をひとまず封印している側面もありそうだ。 (了)

提供元・Business Journal

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